改訂新版 世界大百科事典 「アメリカ議会図書館」の意味・わかりやすい解説
アメリカ議会図書館 (アメリカぎかいとしょかん)
Library of Congress
アメリカ合衆国議会の図書室として1800年に発足したが,今日では蔵書数,予算額,職員数すべての点で世界最大規模を誇る国立図書館。首都ワシントンにある。日本の〈国立国会図書館〉は戦後占領時代の1948年,アメリカ文化使節団の勧告により,このアメリカ議会図書館をモデルとしてつくられた。仕事の内容は,基本的には他の図書館と同じであり,文献の収集,分類整理,閲覧,調査,レファレンス回答等々であるが,大きな特色として,連邦議会の上・下両院議員に対する調査サービス機能が充実していること,および,連邦法により,すべての出版物は1部納本することによって著作権が発生し登録されるしくみになっており,したがって国内の文献はほぼ自動的に集まってくることがあげられる。全職員数は約5000名,そのうち約900名が対議会サービスのために働いている。蔵書数は約7350万点(1978),うち約1800万点が図書と雑誌,残りは古文書資料(歴代大統領の自筆原稿等),地図,レコード,映画フィルム,点字・録音資料等多岐にわたっている。国外の資料収集にも力を入れており,東京をはじめ特にアジア,アフリカ地域数ヵ所に事務所をおき職員を常駐させている。1975年,アメリカ史の学者として著名なブアスティンDaniel J.Boorstin元シカゴ大学教授が館長に就任した。
執筆者:泉 昌一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報