日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラバマ」の意味・わかりやすい解説
アラバマ
あらばま
Alabama
アメリカ合衆国、南東部の州。面積13万3667平方キロメートル、人口444万7100(2000)。北はテネシー州と、東はジョージア州と、南はフロリダ州およびメキシコ湾と、西はミシシッピ州と、それぞれ接する。州都はモントゴメリー。最大の都市はバーミングハム、主要港はモービール。州の北部はアパラチア山脈の延長部分にあたり、山地と丘陵地からなるが、南部は海岸平野である。テネシー川が北部をほぼ東西に流れ、アラバマ川とトムビグビー川が海岸平野を流れてメキシコ湾に注ぐ。海岸平野にはケスタ地形が発達している。かつての綿花地帯であったブラックベルトは、このケスタ地形の凹地の部分にあたり、黒い肥沃(ひよく)な土壌のためにそうよばれた。バーミングハムの1月の平均気温は6.7℃、7月の平均気温は26.7℃、年降水量は1349ミリメートルである。
かつての重要な農産物であった綿花の生産は低下し、現在では畜産の生産額が農業生産額の約3分の2を占める。畜産は肉牛と養鶏が中心で、作物は大豆、ピーナッツと、テネシー河谷の綿花である。工業生産額も増加しており、テネシー川の流れる北部地域は、テネシー河谷開発公社(TVA)の電力供給によって工業地域が形成されている。石油、石炭、鉄鉱石が採掘されるほか、化学製品、鉄鋼、織物、紙製品、食品加工などの工業がある。
スペインの探検家たちがこの地に到達した1500年代には、先住民(アメリカ・インディアン)の四つの集団(クリーク、チェロキー、チョクトウ、チッカソウ)が農耕を行っていた。1702年にフランス人がモービール湾に最初の定住地を建設。1763年にイギリス領となり、1783年に合衆国領となった。東部に住んでいたクリーク人は、1814年のホースシュー・ベンドの戦いで敗れ、オクラホマに追いやられた。1819年にアメリカ合衆国22番目の州となった。
[菅野峰明]