日本大百科全書(ニッポニカ) 「南部連合」の意味・わかりやすい解説
南部連合
なんぶれんごう
Confederate States of America
アメリカの南北戦争の際、合衆国を脱退した南部諸州が形成した政治連合。アメリカ連邦ともいう。1861年2月4日、サウス・カロライナ、ジョージア、フロリダ、アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナの六州の代表がアラバマ州モントゴメリーに集まって結成した。同9日には、ジェファソン・デービスを大統領に、アレクサンダー・H・スティーブンスを副大統領に選出し、分離各州の代表からなる内閣を組織。ついで合衆国憲法に酷似した憲法を批准した。また3月2日にはテキサス州がこの新政府に参加する。4月12日サムター要塞(ようさい)において戦闘が開始されると、それまで分離に反対し続けてきたバージニア、ノース・カロライナ、テネシー、アーカンソーの四州も南部連合に参加した(4~5月)。
11州よりなる南部連合政府は、以後全力をあげて新国家の機構整備と対合衆国戦争準備へ突入していく。しかし、合衆国側によるいち早い海上封鎖によって海外との交易を遮断されたため、その財政的基盤の弱さに加えて、軍事および日常生活双方における物資の欠乏に悩み、兵士は旧式の装備と補給の不足に、銃後の国民はインフレーションと食糧や生活物資の欠乏に苦しんだ。政府内でも大統領のデービスと副大統領のスティーブンスとが、政府の権限とそのもとに連合する分離諸州との間の「州権論」をめぐって鋭く対立し、南部連合は統一政府として十分には機能しえなかった。1865年4月リー将軍がアポマトックスで合衆国軍に投降し、大統領もまた逮捕されるに及んで、南部連合はここに解体する。
[長田豊臣]