アルゲランダー(読み)あるげらんだー(その他表記)Friedrich Wilhelm August Argelander

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルゲランダー」の意味・わかりやすい解説

アルゲランダー
あるげらんだー
Friedrich Wilhelm August Argelander
(1799―1875)

ドイツの実地天文学者。1817年ケーニヒスベルク大学入学ベッセル天文学に傾倒し、1820年卒業と同時にその助手となった。1823年スウェーデンのオボ大学天文台の建設に派遣され、1832年ヘルシンキ天文台長。1837年ボン大学教授に就任し天文台建設を指揮、1845年完成と同時に台長となり、終生観測を続けた。1864~1867年ドイツ天文学会会長。ボン天文台では口径7センチメートル、倍率10倍の赤道儀式屈折望遠鏡を使用し、恒星固有運動を系統的に観測、約390個の観測資料により、太陽系の空間運動を実証した。また変光星の眼視測定法および命名法を創出したが、これは今日も国際的に通用している。1859~1862年、北天9.5等星以上の恒星を測定し、1863年に32万4198個の恒星の位置と等級を収録した『ボン掃天星表』および星図を発表した。

[島村福太郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「アルゲランダー」の意味・わかりやすい解説

アルゲランダー
Friedrich Wilhelm August Argelander
生没年:1799-1875

近代恒星表の基礎を確立したドイツの観測天文学者。メーメルに生まれ,ケーニヒスベルク大学に進み,F.W.ベッセルに師事して小惑星の研究から恒星表作製に進み,560個の星の正確な位置を記載した最初の近代的星表を発表した(1835)。1837年ボン天文台初代台長。43年には肉眼で見えるすべての星を記録した《Uranometria Nova》を出版した。引き続いて星表の作製に全力を注ぎ,9.5等より明るい恒星32万4000個を含む《ボン掃天星表》として知られている星表の第1部(赤緯-2°以北)を完成した。このボン掃天星表はその後赤緯-23°まで拡張され,現在に至っても標準星図星表の基準として活用されている。太陽運動の確認,変光星の観測法の発案などの業績も大きい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルゲランダー」の意味・わかりやすい解説

アルゲランダー
Argelander, Friedrich Wilhelm August

[生]1799.3.22. メメル
[没]1875.2.17. ボン
ドイツの天文学者。ケーニヒスベルク大学で F.ベッセルに師事。ケーニヒスベルク天文台研究員,フィンランドのオーボ天文台台長 (1823) ,ヘルシンキ天文台台長 (32) を経てボン大学天文台初代台長 (37) 。ドイツ天文協会の創設者。初め太陽運動の研究を行なったが,その後変光星の研究に着手,その開拓者といえる。また北天の 32万 4198個に及ぶ恒星の位置観測と星表 (『ボン掃天星表』 Bonner Durchmusterung,59~62) は不朽の業績である。

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百科事典マイペディア 「アルゲランダー」の意味・わかりやすい解説

アルゲランダー

ドイツの天文学者。1837年初代ボン天文台長。1862年光度9.5等以上,南緯2°以北の恒星約32万4000個を含むボン掃天星表を完成。

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