改訂新版 世界大百科事典 「アワゴケ」の意味・わかりやすい解説
アワゴケ
Callitriche japonica Engelm.
庭などの湿った土地に生える雑草的なアワゴケ科の一年草で,小さく繊弱。全草無毛。茎は細く,分枝しながら地表をはい,先端部は斜上から直立する。葉は対生し,倒卵形で,小さく,葉腋(ようえき)に1個の微細な花をつける。花は淡緑色で目立たず,雄花は1本のおしべ,雌花は1本のめしべから成り,花弁も萼片もない。実は4個の種子を入れる。関東より西,四国,九州に分布し,特に利用されることのない,まったく目だたない雑草である。コロニーをつくって生育している状態を,“泡立っている”ことに見立ててアワゴケ(泡苔)の名がついた。
アワゴケ科Callitrichaceaeはアワゴケ属1属から成り,多年生で水田雑草になったり,沼地などにも生じる水草であるミズハコベC.fallax Petrovが日本に分布する。しかし全種数は20種あまりの小さな植物群で,系統的な類縁はよくわかっていない。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報