日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンゴラレンコ」の意味・わかりやすい解説
アンゴラレンコ
あんごられんこ / アンゴラ連子
諳喀剌連子
Angolan dentex
[学] Dentex angolensis
硬骨魚綱スズキ目タイ科キダイ亜科に属する海水魚。セネガルから西海岸の熱帯アフリカを経てアンゴラ沖に分布する。体は楕円(だえん)形で側扁(そくへん)する。前頭部の外郭はほとんど直線状。両眼間隔幅は狭い。頬(ほお)と前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の前部は鱗(うろこ)をかぶる。口は下位で、わずかに斜め。両顎(りょうがく)に数列の犬歯状の歯があり、外列歯がもっとも強い。また両顎の前部に4~6本のよく発達した歯があり、口を閉じると上顎のものは露出する。背びれは12棘(きょく)で、第4棘または第5棘までは長いが、それより後方の棘はほとんど同長。最大の全長は37センチメートルに達する。体は銀色に輝く赤色で、頭部はやや暗色を帯び、腹部は淡い。側線下方の体側に縦走する数本の黄色の平行線がある。胸びれの基部上端には小暗色部がある。背びれと臀(しり)びれは基底部を除いて赤い。腹びれは淡色で、胸びれと尾びれは赤みを帯びる。水深15~300メートルの大陸棚とその斜面、および沿岸の砂泥底に生息し、高齢魚ほど深みにすむ。おもに甲殻類、また、魚類、軟体動物、多毛類なども食べる。雌性先熟型の雌雄同体魚で、体長18~23センチメートルで性転換する。ギニア湾でのおもな産卵期は5月~7月。底引網や底延縄(そこはえなわ)で漁獲され、一時、多量に日本の市場に出回ったことがある。日本産のタイの代用品に使い、美味である。セナガキダイ、キダイは近縁の魚である。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年7月19日]