日本大百科全書(ニッポニカ) 「アントネスク」の意味・わかりやすい解説
アントネスク
あんとねすく
Ion Antonescu
(1882―1946)
ルーマニアの軍人、政治家。トランシルバニアに6月14日生まれる。第二次世界大戦時の親独政権の首班。第一次世界大戦に従軍、1934年に参謀総長、1937年に国防相になるが、右翼団体「鉄衛団」に近いとして翌1938年解任された。国土の3分の1が周辺諸国に奪われた1940年の危機に際して国王に請われて首相に就任、ドイツ軍の領内進駐を認め、三国同盟に加入した。鉄衛団の支持を得て独裁制を敷いたが、1941年1月には同団を解散させた。同年6月の独ソ開戦には30個師団を投入して対ソ宣戦し、ウクライナ南部を支配し、オデッサをアントネスク市と命名したが(現、オデーサ)、1944年8月のクーデターで逮捕され、戦後、裁判ののち1946年6月1日処刑された。
[木戸 蓊]