アーミッシュ(読み)あーみっしゅ(英語表記)Amish

翻訳|Amish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーミッシュ」の意味・わかりやすい解説

アーミッシュ
あーみっしゅ
Amish

16世紀のオランダ、スイスのアナバプティスト再洗礼派)の流れをくむプロテスタント一派であるメノナイトから、1639年に分裂した一派。ヤコブ・アマンJacob Ammanを指導者として始まったためアーミッシュとよばれる。イエスやアマンの時代の生活を実践しようとする復古主義を特徴とする。メノナイトと同様、ルターツウィングリの国教会制度を拒否(教会と国家の分離を主張)、国民性やイデオロギーの違いで人を殺すより、牢獄へ行った方がよいとする平和主義を貫く。映画『刑事ジョン・ブック――目撃者』(1985)で広く知られるようになった。現代文明を拒否して電気や車を使わず、馬車を用いて、おもに農業を営む。地味な服装は信仰の表れである。アメリカ合衆国では、義務教育や兵役拒否で国家と争うが弾圧は受けなかった。権威偶像を認めず、自然とともに暮らすアーミッシュの質素な生き方から何かを学ぼうとする現代人もいる。アーミッシュ単独の実数はつかみにくいが、メノナイト系全体では、1990年現在、北アメリカに約38万人、世界に約85万6000人といわれている。

[野村文子]

『菅原千代志著『アーミッシュ――もう一つのアメリカ』(1997・丸善)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーミッシュ」の意味・わかりやすい解説

アーミッシュ
Amish

アメリカ合衆国,ペンシルバニア州などに住むプロテスタント教会の一派。18世紀前半にヨーロッパからペンシルバニアに入植後,中西部にも移住していったといわれる。ペンシルバニア・ダッチと呼ばれるドイツ語方言を話し,現代社会物質文明に完全に背を向け,今日まで入植当時の生活様式を保持している。電気器具自動車,電話などを一切使用せず,独自のコミュニティをつくり,おもに農業に従事し,子供の教育も独自に行なう。

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