イオニア諸島(読み)いおにあしょとう(英語表記)Iónioi Nísoi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イオニア諸島」の意味・わかりやすい解説

イオニア諸島
いおにあしょとう
Iónioi Nísoi

ギリシア西端部、イオニア海東端にある島群。英語名Ionian Islands。古称ヘプタネソスHeptanesos(「七つの島」の意)。面積2307平方キロメートル、人口19万3734(1991)。北よりケルキラコルフ)、パクシ、レフカス、ケファリニア、イサキ、ザキントス、キスイラの7島、および多数の小島からなり、全体で一行政区をなす。比較的雨量の多い地中海式農業地帯で、ブドウ、オリーブ、柑橘(かんきつ)類、果実類を豊富に産する。

 東西を結ぶ海上交通路上の要衝にあり、古代ギリシアの植民運動の時代にはケルキラとレフカスにコリントの植民市が設けられ、アテネも紀元前5~前4世紀の西方への航路確保のためザキントスを勢力下に置こうとした。13世紀のラテン帝国時代以来ベネチアの支配下に入り、ついでフランス領(1798)、ロシア領(1799)となった。一時島の自治を宣言したが、1807年ふたたびフランス領となり、ウィーン条約(1815)でイギリス領となった。1864年ゲオルギス1世のギリシア王位継承の条件としてギリシアに返還された。

[真下とも子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イオニア諸島」の意味・わかりやすい解説

イオニア諸島
イオニアしょとう
Iónii Nísi

ギリシア西部,イオニア海にある島群。北から南に連なるケルキラ,パクシ,レフカス,イサキ,ケファリニア,ザキンソスの6島とそれらの周辺の小島から成る。ギリシアとイタリアの間の戦略的要地に位置していたため,古くから外部の勢力の影響下におかれ,ギリシア,ローマ,ビザンチン,ベネチア,フランス,ロシア,オスマン帝国,イギリスなど領有が次々に変った。イギリスの保護下にあった 1848年,ケファリニア島を中心に農民反乱があり,イオニア議会は新たに成立したギリシア王国への統合を決議,64年ギリシア領となった。降水量に恵まれ可耕地が多いことから,木材,果実,アマなどの産出が多く,干しぶどう,ワイン,綿花,オリーブなどを輸出。面積 2302km2。人口 19万 1003 (1991推計) 。

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