このギリシア語の公式名のほかに,ザンテZante島というイタリア語系の名称も広く用いられる。ギリシア西部イオニア諸島に属し,その南端,ペロポネソス半島の沖20kmに位置する島。面積約410km2,人口3万9000(2001)。干しブドウ,ブドウ酒,オリーブ油などを産する。春と秋に咲く野草の美しさは特に有名。古典期にはポリスとして栄え,2世紀にローマの領土となる。15世紀から18世紀末までベネチア領であったので,イタリア系の文化の影響は今も色濃い。19世紀ギリシアの国民詩人D.ソロモスはこの島の出身。島の中心となる町もやはりザキントスと呼ばれ,農産物の積出港,セッケンの生産でも知られる。古来しばしば地震に見舞われ,1953年には全島が壊滅的な損害を受けた。
執筆者:池澤 夏樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ギリシア西部、イオニア諸島の最南部、ペロポネソス半島西岸沖に位置する島。面積402平方キロメートル。英語名ザンテZante。近くの小島をあわせてザキントス県をなし、県の人口は3万9300(2003推計)。県都は東岸のザキントス(人口1万2500、2003推計)。山がちで、島頂はブラヒオナ山(756メートル)。東部には平原が開け、人口が集中している。温和な気候に恵まれ、雨量も多く、オリーブ、ブドウの栽培が盛んである。
島全体が火山帯の中心にあるため、地震によりしばしば大被害を受けてきた(1514、1893、1953)。古代にはアカイア人、アルカディア人の植民地となり、古代アテネの海軍基地にもなった。ベネチア支配下で繁栄し、その美しさは「イオニアの花嫁、レバントの華」と歌われた。文化的にもベネチアの影響が強く、近代ギリシア文学発祥の一中心地として知られ、偉大な詩人ソロモス、カルボス、フォスコロらを輩出した。
[真下とも子]
…総面積2307km2,人口19万1000(1991)。北からケルキラ(一般にコルフの名で知られる),パクシ,レフカス,イターキ(古代名イタケー),ケファリニア,ザキントス(別名ザンテ),ずっと南に離れてキティラ。どの島も山が多いが,気候は温暖である。…
※「ザキントス島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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