コリント(読み)こりんと(英語表記)Kórinthos

デジタル大辞泉 「コリント」の意味・読み・例文・類語

コリント(Korinthos/Κόρινθος)

ギリシャ南部の都市。ペロポネソス半島と本土とを結ぶ地峡にある。交通・商業の要地で、古代にアテネスパルタと並んで栄えた都市国家。陶器を産する。コリントスコリンソス

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精選版 日本国語大辞典 「コリント」の意味・読み・例文・類語

コリント

  1. ( [英語] Corinth )
  2. [ 1 ] ギリシア、ペロポネソス半島の基部にある都市。古代ギリシアの都市国家の一つで、紀元前七~前六世紀海上貿易によりアテナイ、スパルタなどと並んで栄えた。また、陶器製造の中心地となった。ギリシア名コリントス。
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. コリント‐ゲーム」の略。
      1. [初出の実例]「コリントやのぞき写真にとりかこまれた屋内劇場」(出典:月光都市(1944‐47)〈武田泰淳〉)
    2. コリントようしき(━様式)」の略。
      1. [初出の実例]「お定りの西洋造り、屋根はゴチック、柱はコーリンツ」(出典:大策士(1897)〈福地桜痴〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コリント」の意味・わかりやすい解説

コリント(都市国家)
こりんと
Kórinthos

古代ギリシア、ペロポネソス半島北東端にあったドーリス人ポリス(都市国家)。わが国ではコリントと呼び習わされるが、正しくはコリントスという。英語名はコリンスCorinth。ミケーネ時代にはイオニア人が居住したが、紀元前11世紀に、おそらくアルゴスから遠征したドーリス人の支配に移ったと考えられる。前8世紀にポリスを形成し、コリント地峡を抑える海陸交通の要地を占め、サロニコス湾にケンクレアイ、コリント湾にレカイオンの港を擁し、商工業ポリスとして発展した。

 前8世紀後半からバッキス氏族が政権を独占して寡頭政を敷き、そのもとで前733年にシラクーザケルキラに植民市が建設されたが、前657年ごろキプセロスがバッキス氏族を倒して僭主(せんしゅ)となった。キプセロス家3代の支配下で、陶器の生産や植民市の建設を中心に繁栄の頂点に達したが、前580年ごろ僭主政は崩壊して穏和寡頭政になった。前6世紀後半にペロポネソス同盟に加盟したが、アテネとも友好を維持し、前480~前479年のペルシア戦争ではペルシア軍と戦った。ペルシア戦争後アテネとの関係が悪化し、それが前431年のペロポネソス戦争勃発(ぼっぱつ)の大きな伏線になったが、前4世紀初めのコリント戦争では、逆にアテネと組んでスパルタと戦った。前337年にコリントにおいて結成されたヘラス連盟に加盟し、前243年にアカイア同盟に加わり、前196年にふたたびこれに参加して、その中心となったが、前146年にローマの将軍ムンミウスの手で徹底的に破壊された。前44年カエサルによりローマの植民市として再建され、急速に繁栄を回復し、前27年ローマの属州アカイアの首府となり、後1世紀にはキリスト教の使徒パウロやローマ皇帝ネロが訪れた。

 今日のコリント市は、古代のコリントの地に存続した町が地震で大損害を受けた1858年に、その北東約5.6キロメートルのコリント湾岸に新しく建設された。人口3万2800(2001推計)の地方都市で、コリンティア県の県庁所在地である。

[清永昭次]



コリント(Lovis Corinth)
こりんと
Lovis Corinth
(1858―1925)

ドイツの画家。東プロイセンのタピアウで生まれる。ケーニヒスベルク(現、ロシア領カリーニングラード)で教育を受け、その後ミュンヘンアンベルスで絵画を修業する。1884~1887年、パリのアカデミー・ジュリアンでブーグローWilliam-Adolphe Bouguereau(1825―1905)に学んだ。1880~1890年ミュンヘン、以後は主としてベルリンで活躍。ドイツ印象主義を代表する画家の一人で、ベルリン分離派同盟の有力メンバーであったが、晩年には表現主義的な激しさが加わっている。代表作は『ミュンヘンのアトリエからの眺め』(カールスルーエ州立美術館)。また、出生地には彼の美術館がある。オランダザントフォールトで没した。

[野村太郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「コリント」の意味・わかりやすい解説

コリント
Lovis Corinth
生没年:1858-1925

ドイツの画家。東プロイセン,タピアウの出身で,ケーニヒスベルクの美術学校を経て,ミュンヘンの美術学校に学んだ。同地でライブルらの写実主義の影響を受けたのち,自由な空気を求めて1900年ベルリンへ移り,ベルリン分離派に加わった。以後,M.リーバーマン,スレーフォークトと並んで,分離派(ゼツェッシオン)を中心とするドイツ印象派の重鎮として活躍。作風は,初期の写実主義的なものから,しだいに色彩・筆致の自由奔放さを示すようになり,とりわけ晩年には表現主義的な画風に近づいた。画題は,風景画,静物画から肖像画,宗教画まで幅広く,また数多くの版画も残した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コリント」の意味・わかりやすい解説

コリント
Corinth, Lovis

[生]1858.7.21. タピアウ
[没]1925.7.17. オランダ,ザントフォールト
東プロシア生れのドイツの画家。 1876~80年ケーニヒスベルク,80~84年ミュンヘンの美術学校に学び,84~87年パリで制作。 1900年ベルリンに移住。初期の作品は P.ルーベンスや F.ハルスの影響を受けて写実主義的であったが,やがて外光派絵画へ向い,11~12年ベルリン分離派を主宰し,ドイツ印象派の代表的存在となる。 11年突然中風に見舞われてからは,次第に表現主義的傾向を強めた。 18年以後しばしばバルヘンゼーを訪れ,一連の風景画を制作。画題は風景,肖像,静物のほか宗教画や歴史画も描き,晩年には石版,エッチングの秀作も残した。著書に『自叙伝』 Selbstbiographie (1926) などがある。

コリント
Corinto

ニカラグア西部の都市。レオンの西北西約 30km,太平洋岸コリント湾内の低平なプンタイカコ島にある港湾都市で,本土とは橋で結ばれる。大型船が接岸できる同国唯一の港で,同国の主要港として輸出の大半を取扱う。主要輸出品はコーヒー,綿花,砂糖,木材,皮革など。鉄道が通じ,国内主要都市と連絡。人口2万 4250 (1985推計) 。

コリント

「コリンソス」のページをご覧ください。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「コリント」の解説

コリント
Korinthos[ギリシア],Corinth[英]

ギリシア語名はコリントス。ペロポネソス半島基部の地峡(イストモス〈Isthmos〉)西部に位置し,ギリシアの東西・南北の交通や商取引の要路を占め,早くより栄えた。前8世紀中頃からバッキアダイと呼ばれる貴族集団が支配し,植民時代には,はなばなしい活動を示した。陶器生産でも有名。前7世紀半ばから前6世紀初めにかけ僭主(せんしゅ)政を経験したのち,少数の富裕者による支配へと政体は変化した。ペロポネソス戦争ではアテネと対立。マケドニアのギリシア支配のときには,ここで協約が結ばれた。前146年ローマ軍により破壊されたが,のち再建され,ローマの属州アカイアの知事駐在地となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「コリント」の解説

コリント
Korinthos

ペロポネソス半島と中部ギリシアをつなぐコリント地峡に位置する,古代ギリシアの都市国家(ポリス)
西地中海と東地中海を結ぶ交通上の要地にあるため,商工業が栄えた。アテネ・スパルタと並ぶ有力なポリスで,ヘレニズム時代に最大の商業都市となり,前146年,商敵ローマに破壊された。

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世界大百科事典(旧版)内のコリントの言及

【コリントス】より

…人口2万8000(1982)。コリントCorinthともいう。野菜,果物類,オリーブ油,ブドウ酒,干しブドウ,絹織物などを産する。…

【コリント人への手紙】より

…最初期キリスト教の使徒パウロが,53‐55年にかけてギリシアのコリント(コリントス)にある教会にあてて,彼のいわゆる第3伝道旅行(《使徒行伝》18:23以下)中に小アジアのエペソ(エフェソス)から書いた手紙群。新約聖書には第1と第2の二つの手紙が収められているが,とくに第2の手紙は複数(おそらく5通)の手紙をのちの編集者がひとつにまとめた可能性が強い。…

※「コリント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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