イヌコリヤナギ(読み)いぬこりやなぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌコリヤナギ」の意味・わかりやすい解説

イヌコリヤナギ
いぬこりやなぎ / 犬行李柳
[学] Salix integra Thunb.

ヤナギ科(APG分類:ヤナギ科)の落葉低木。雌雄異株。冬芽の鱗片(りんぺん)は1枚で深帽状。葉は対生ないし互生で長楕円(ちょうだえん)形無毛、表面は緑色裏面は帯白色、短柄をもつか、ほぼ無柄。先は円ないしやや鋭頭、基部は円または浅心形、縁(へり)に細鋸歯(さいきょし)があるか、またはない。春から初夏にかけて、葉が出る前に長さ2~3センチメートルの花穂を出す。包葉は上半部は黒色で残存性。花は腹腺(ふくせん)体1個。雄しべは2本、花糸は合生して1本となっている。子房は白色の短毛が密生し、花柱は短く、柱頭は2個あり、それぞれ2裂する。日本全土、朝鮮、中国、ロシアに分布し、水辺を好む。名は、コリヤナギに似ているが無用なのでいう。

[菅谷貞男 2020年7月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イヌコリヤナギ」の意味・わかりやすい解説

イヌコリヤナギ(犬行李柳)
イヌコリヤナギ
Salix integra

ヤナギ科の落葉小低木で,高さ2~3mになる。日本,朝鮮半島,ウスリー地方に分布し,日当りのよい水辺や湿地に生育する。小枝はまっすぐ伸び,無毛,黄褐色で,葉を対生することが多い。葉は長楕円形で長さ4~10cm,幅 1.3~2cm,柄がきわめて短く,基部は円形または浅い心形になる。3~5月頃,葉の展開に先立って開花し,円柱状に密に花 (→尾状花序 ) をつける。雌雄異株。雄花序は長さ 1.5~2.4cmで,各雄花は花被がなく,花糸が合生した2本のおしべをもつ。雌花序は長さ 1.5~2.5cmで,各雌花には卵形の子房がある。和名コリヤナギ (行李柳)に似るが役に立たないという意味である。

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