イリエワニ(読み)いりえわに(英語表記)estuarine crocodile

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イリエワニ」の意味・わかりやすい解説

イリエワニ
いりえわに
estuarine crocodile
[学] Crocodylus porosus

爬虫(はちゅう)綱ワニ目クロコダイル科のワニ。危険な種類とされる。インド、東南アジア、フィリピンオセアニアフィジー諸島に広く分布し、オセアニア、フィリピン産を別亜種のインドシナイリエワニC. p. biporcatusに分けることもある。全長3~7メートル、吻部(ふんぶ)は細長く、多くは後頭鱗板(りんばん)を欠く。河口汽水や海岸にすみ、スリランカとニューギニアでは淡水にもすむ。水かきは、前肢では指の基部、後肢では外側の足指の先端まで発達して遊泳力に優れ、海に泳ぎ出て遠隔の島に達することもある。性質が荒く、大形動物のほか家畜や人を襲うため恐れられている。とくに夜間に入り江で漁をする人たちが襲われ、水中に引き込まれるという。

[松井孝爾]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イリエワニ」の意味・わかりやすい解説

イリエワニ
Crocodylus porosus; estuarine crocodile

ワニ目クロコダイル科。全長 7m。体色は暗緑黄色で,暗色斑紋がある。ワニのなかでは最も獰猛な種類の一つで,人食いワニとしても知られる。卵生で,雌は川岸の堤などに土まんじゅう形の巣をつくり,40~80個産卵する。アジア大陸南部,フィリピン,ニューギニア,オーストラリア北部などに分布し,淡水,汽水,海水のいずれにもすむ。

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