イワブクロ(読み)いわぶくろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワブクロ」の意味・わかりやすい解説

イワブクロ
いわぶくろ / 岩袋
[学] Pennellianthus frutescens (Lamb.) Crosswh.
Penstemon frutescens Lamb.

ゴマノハグサ科(APG分類:オオバコ科)の多年草。葉は肉質で卵状長楕円(ちょうだえん)形で鈍い鋸歯(きょし)がある。夏、茎の上部に数個の大きな花をつける。花は淡紅紫色、袋状で全体に長毛がある。雄しべ4本と花筒内を斜めに横切る1本の仮雄蕊(かゆうずい)がある。高山の岩地に生え、本州の北部、北海道、千島列島やシベリア北部などに分布する。名は、花が袋状で岩地に生えるのでいう。また北海道の樽前山(たるまえさん)に多いのでタルマエソウともいう。この属は北アメリカに250種ほど知られるが、アジアには1種だけ分布する。北アメリカのツリガネヤナギなど数種が栽培される。

山崎 敬 2021年8月20日]

 形態の違いと分子系統学的な解析の結果、北アメリカのものとは属が分けられた。北アメリカの旧イワブクロ属はツリガネヤナギ属Penstemonとなった。

[編集部 2021年8月20日]


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百科事典マイペディア 「イワブクロ」の意味・わかりやすい解説

イワブクロ

ゴマノハグサ科の多年草。本州北部,北海道の高山の砂礫(されき)地にはえ,千島,樺太,シベリア,カムチャツカにも分布。高さ約10cm,全体に白色の毛がある。葉は対生し,長楕円形。夏,茎の頂に数個の花が集まる。花冠は長さ2〜2.5cm,筒形,淡紅色で先はやや唇形(しんけい)になる。北海道の樽前(たるまえ)山に多いのでタルマイソウともいう。
→関連項目ペンステモン

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世界大百科事典(旧版)内のイワブクロの言及

【ペンステモン】より

…北アメリカからメキシコにかけて250種ほどが知られ,園芸植物として栽培されるものが多い。アジアにはイワブクロP.frutescens Lamb.1種のみがある。これを別属とする意見もあるが,花の基本的な構造は同じである。…

※「イワブクロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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