ウエストサイド物語(読み)ウエストサイドモノガタリ(英語表記)West Side Story

デジタル大辞泉 「ウエストサイド物語」の意味・読み・例文・類語

ウエストサイドものがたり【ウエストサイド物語】

原題West Side Storyバーンスタイン作曲、ソンドハイム作詞、ローレンツ脚本によるミュージカル。1957年ニューヨーク初演シェークスピアの「ロミオとジュリエット」に着想を得て、二つの不良少年グループの間で犠牲となった男女悲劇を描いた作品。ウエストサイドストーリー。

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改訂新版 世界大百科事典 「ウエストサイド物語」の意味・わかりやすい解説

ウェスト・サイド物語 (ウェストサイドものがたり)
West Side Story

ミュージカルの歴史を変えた画期的なアメリカ映画。1961年製作。歌と踊りの芸を楽しむ軽快な〈ミュージカルコメディ〉から重厚な主題とスタイルをもつドラマチックな大作ミュージカルの時代に移行するきっかけをつくった。シェークスピアの《ロミオとジュリエット》の物語を,ニューヨークのスラム街に移してミュージカル化した同名のブロードウェーのヒット・プレー(レナード・バーンスタイン作曲,スティーブン・ソンダイム作詞で,1957初演)の映画化。舞台と同じジェローム・ロビンズ振付を担当し,ロバート・ワイズとともに共同監督。ロケーションによるミュージカルはすでに《踊る大紐育》(1949)や《オクラホマ!》(1955)などでも試みられていたが,6週間にわたるニューヨーク・ロケを敢行したこの映画から,〈街中へ出たミュージカル〉の流れが始まる。スニーカーで跳びはねる若者たちの動きをダイナミックにとらえたカメラワーク,集団による戦闘的なモダン・バレエの躍動をアクション映画に近い方法で追った斬新な試み,セット撮影によるミュージカルコメディの明るさや清潔感に対して,汗とほこりにまみれた現実の人間の生活感をむき出しにしたリアリズム感覚,ドラマや主題を表現するための振付,そしてシリアスな社会的テーマ(人種差別の問題)を描き,監督のスタイルによって振付を寸断,編集を中心につくる等々の点でミュージカルに〈新しい時代〉を開いた。このよきにつけあしきにつけ〈映画的〉な演出はブロードウェー出身の振付師ボブ・フォッシー監督の《スイート・チャリティ》(1968),《キャバレー》(1972),《オール・ザット・ジャズ》(1979)や,テレビ出身のノーマン・ジュイソン監督の《屋根の上のバイオリン弾き》(1971),《ジーザス・クライスト・スーパースター》(1973)等々に引き継がれるとともに,70年代以降のロックミュージカルにとつらなる。《トゥナイト》《マリア》などのヒット曲はすべて舞台のオリジナル曲。映画では主役の2人(リチャード・ベイマーとナタリー・ウッド)の声を吹き替えている。

 日本ではロードショーで1年半近くロングラン。Tシャツが流行し,不良少年グループのリーダー役ジョージ・チャキリスが着ていた紫がブームを呼んだ。この大ヒット以後,日本にミュージカルブームが起こり,〈運動靴ダンス〉を基盤としたミュージカル熱が1960年代以降高まった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウエストサイド物語」の意味・わかりやすい解説

ウェスト・サイド物語
うぇすとさいどものがたり
West Side Story

ミュージカル。原案・演出・振付けジェローム・ロビンズ、台本アーサー・ロレンツArthur Laurents(1917/1918―2011)、作詞スティーブン・ソンドハイムStephen Sondheim(1930―2021)、作曲レナード・バーンスタイン。1957年9月26日からニューヨークのブロードウェーでラリー・カートLarry Kert(1930―1991)とキャロル・ローレンスCarol Lawrence(1934― )の主演により734回続演された。1961年にはジェローム・ロビンズとロバート・ワイズの共同監督、ナタリー・ウッドNatalie Wood(1938―1981)とリチャード・ベイマーRichard Beymer(1938― )の主演で映画化され、アカデミー作品賞を受けた。シェークスピアの『ロミオとジュリエット』を現代に翻案、ニューヨークのウェスト・サイドを舞台に、アメリカ青年の集団ジェット団とそれに対立するプエルトリコ移民青年集団シャーク団との闘争に巻き込まれたトニーとマリアの悲恋物語に、現代アメリカの人種問題を含む一断面をとらえている。ヒット曲は『マリア』『トゥナイト』『なにかが起こる』『どこかに』など。

[青木 啓]

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百科事典マイペディア 「ウエストサイド物語」の意味・わかりやすい解説

ウェスト・サイド物語【ウェストサイドものがたり】

バーンスタイン作曲のミュージカル作品。《West Side Story》。作詞スティーブン・ソンダイム,振付ジェローム・ロビンズ。1957年初演以後734回というロング・ランを記録し,ブロードウェーのミュージカル史上に残る作品となった。ニューヨークのストリートを舞台にした《ロミオとジュリエット》の現代版アレンジで,バーンスタインの音楽とロビンズの振付・演出が高く評価された。1961年には映画化され,アカデミー賞8部門を受賞。
→関連項目ミュージカルロビンズ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウエストサイド物語」の意味・わかりやすい解説

ウエスト・サイド物語
ウエスト・サイドものがたり
West Side Story

アメリカ映画。ミリッシュ=ユナイト 1961年作品。監督ロバート・ワイズ,ジェローム・ロビンズ。主演ジョージ・チャキリス,ナタリー・ウッド,リチャード・ベイマー。音楽レナード・バーンスタイン。1957年初演の大ヒットミュージカル(原作アーサー・ローレンツ,演出・振付ジェローム・ロビンズ)の映画化で,ニューヨークのスラム街を舞台に,白人系とプエルトリコ系の不良少年団の対立と悲恋を描くロミオとジュリエットの現代版。ワイズはこの映画化で,ロケーション撮影や映画技術(撮影,編集)の効果を大いに発揮し,アメリカ合衆国のミュージカル映画史上に「街に出たミュージカル」の時代をつくりだした。『トゥナイト』Tonight,『アメリカ』Americaなどの優れた歌(作詞スティーブン・ソンドハイム)がある。

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デジタル大辞泉プラス 「ウエストサイド物語」の解説

ウエスト・サイド物語

①1957年にニューヨークで初演されたミュージカル。シェークスピアの恋愛劇『ロミオとジュリエット』を下敷きにしたもの。
②1961年製作のアメリカ映画。原題《West Side Story》。①の映画化。監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス、出演:ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノほか。第34回米国アカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞(ジョージ・チャキリス)、助演女優賞(リタ・モレノ)、美術賞(カラー)、撮影賞(同)、衣裳デザイン賞(同)、編集賞、ミュージカル映画音楽賞、音響賞受賞。
③①を原作とした宝塚歌劇団による舞台演目のひとつ。1968年、宝塚大劇場にて初演。月・雪組。芸術祭大賞を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のウエストサイド物語の言及

【ミュージカル】より

…これまでのミュージカルの演出はどちらかといえばせりふ劇もこなせる演出家が手がけることが多かったが,このころから振付師が演出する例がしだいに増えてきた。その代表的人物はJ.ロビンズであり,決定的な作品はおそらく,シェークスピアの《ロミオとジュリエット》を現代化するという彼の案によって,L.バーンスタインが曲,ソンダイムStephen Joshua Sondheim(1930‐ )が詞を作った《ウェスト・サイド物語》(1957)であろう。これは日常行動の多くを踊りにするという意味で,バレエに接近した作品であった。…

【ロビンズ】より

…44年L.バーンスタインの音楽でバレエ《ファンシー・フリー》を初めて振付け大成功をおさめた。49‐59年,ニューヨーク・シティ・バレエ団(シティ・バレエ)の芸術監督補佐として,ストラビンスキーの音楽による《檻(おり)》(1951),ドビュッシーの音楽による《牧神の午後》(1953)などを振付け,57年にはバーンスタインの音楽によるブロードウェー・ミュージカル《ウェスト・サイド物語》の振付で,世界的な名声を得た。58年と61年のスポレート音楽祭出演のために〈バレエUSA〉を創立したが,長続きせず,69年〈シティ・バレエ〉に復帰した。…

※「ウエストサイド物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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