ウスカワマイマイ(読み)うすかわまいまい(英語表記)Siebold's globular snail

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウスカワマイマイ」の意味・わかりやすい解説

ウスカワマイマイ
うすかわまいまい / 薄皮蝸牛
Siebold's globular snail
[学] Acusta despecta

軟体動物門腹足綱オナジマイマイ科のカタツムリA. sieboldiana異名。日本ではもっとも普通にみられるカタツムリで、日本全土および朝鮮半島に分布している。畑や庭園にすんで木の苗や野菜を食害するほか、海岸のハマユウの間にも多い。殻は球形で、殻高20ミリメートル、殻径25ミリメートルに達し、殻質は薄い。螺層(らそう)は5階で、殻表はこはく色から紫褐色などであるが、色帯はまったくない。殻口は広く大きいが、外唇はほかのマイマイ類のように肥厚していない。軟体の外套膜(がいとうまく)は黄白色のものから紫褐色の斑紋(はんもん)のあるものまであって透けてみえるが、殻の色と一致していない場合もある。初夏と秋に地面に産卵する。

[奥谷喬司]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウスカワマイマイ」の意味・わかりやすい解説

ウスカワマイマイ
Acusta despecta; globular snail

軟体動物門腹足綱オナジマイマイ科。殻高 2cm,殻径 2.5cm。殻は薄質で球卵形,螺塔は小さく円錐形で螺層は5階。殻表は淡黄色ないし紫褐色で,色帯はない。体層は特に大きく,丸い。殻口は広くて丸く,成貝になっても殻口縁は厚くなることはない。臍孔は狭く開く。外套膜は淡黄色より黒色まであり,斑点状のこともある。日没から日の出の間に活発に行動し,畑の野菜や庭の花壇を害することがある。産卵期は初夏と秋。雌雄同体であるが他個体と交尾し,白い球形の卵を1回に約 40個を土中に穴を掘って産む。日本全土の平地に多い。寄生虫の1種膵蛭 (すいてつ) の中間宿主となる。

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