日本大百科全書(ニッポニカ) 「エイスフォラ」の意味・わかりやすい解説
エイスフォラ
えいすふぉら
Eisphora ギリシア語
古代ギリシアの戦時特別財産税。おもに紀元前5、4世紀、アテナイ(アテネ)において国家財政窮乏の際に、戦費捻出(ねんしゅつ)のために一定額以上の財産を所有する市民と在留外人(メトイコイmetoikoi)に課せられた。その徴収組織は前378年以降よく知られており、納税義務者はシンモリアsymmoriaiとよばれた納税団体に分けられ、そのうちとくに最富裕者たちは緊急時に税の前納(プロエイスフォラproeisphora)を義務づけられることによって、徴収の迅速、円滑化が図られた。税率は普通、財産総額の1%であった。アテナイ以外にスパルタ、アイギナ、ミレトスなどにもその存在が知られている。
[古川堅治]