えぞにゅう

精選版 日本国語大辞典 「えぞにゅう」の意味・読み・例文・類語

えぞ‐にゅう

  1. 〘 名詞 〙 セリ科多年草。東北地方以北の山地の湿った草原に生える。大形の草本で高さ三メートル以上になる。葉は広卵形で、浅く三~五裂する。下方の葉の葉柄は長く、基部はさや状に茎を包み、上方の葉の柄はさや状部だけとなる。夏、茎の上部にかさ形の大きな花序を多数出して、おびただしい数の白色五弁花を開く。根には強い香気をもつ。若葉はゆでて食用とし、根は興奮剤として用いられる。せいき。しゅうきな。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「おお満艦飾のこのえぞにふの花、月光いろのかんざしは、すなほなコロボックルのです」(出典:春と修羅(1924)〈宮沢賢治〉樺太鉄道)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「えぞにゅう」の意味・わかりやすい解説

エゾニュウ
えぞにゅう
[学] Angelica ursina (Rupr.) Maxim.

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。茎は高さ3メートルにも達し、壮大。葉は2~3回3出羽状複葉。上部の葉は退化して赤褐色の鞘(さや)となる。花は8月、大形の複散形花序に多数つき、白色。果実は広楕円(こうだえん)形、広い翼がある。山地の草原に生え、中部地方以北の本州、北海道、樺太(からふと)(サハリン)、千島などに分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]


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世界大百科事典(旧版)内のえぞにゅうの言及

【シシウド】より

…本州と九州の山地に分布する。エゾニュウA.ursina (Rupr.) Maxim.は海岸に近い草地に生える巨大な多年草で,茎は高さ1~3m,太さ6cmにも達する。夏に大きい複散形花序をつけ,40~60本の枝の先に,多数の小さい白い5弁の花を散形につける。…

※「えぞにゅう」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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