婚約者(読み)コンヤクシャ(その他表記)I Promessi sposi

デジタル大辞泉 「婚約者」の意味・読み・例文・類語

こんやく‐しゃ【婚約者】

結婚約束を交わした相手許嫁いいなずけフィアンセ
[補説]書名別項。→婚約者
[類語]許嫁フィアンセ

こんやくしゃ【婚約者】[書名]

原題、〈イタリアI Promessi sposiマンゾーニによる長編歴史小説。17世紀の北イタリア舞台に、青年レンツォと婚約者のルチア紆余曲折を経て結ばれるまでを描く。初版は1827年刊行決定版は1840年から1842年に分冊で刊行。別邦題「いいなづけ」。

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精選版 日本国語大辞典 「婚約者」の意味・読み・例文・類語

こんやく‐しゃ【婚約者】

  1. 〘 名詞 〙 結婚の約束をした相手の人。婚約をかわした相手。フィアンセ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「婚約者」の意味・わかりやすい解説

婚約者
こんやくしゃ
I Promessi sposi

イタリアのロマン主義を代表する作家A・マンゾーニの大作でカトリシズムのモラルをテーマにした長編歴史小説。1827年に初版、40年に決定版が出た。舞台は1628年ころのスペイン支配下のロンバルディア地方。コモ湖畔のレッコという村の貧しき農民の婚約者レンツォとルチーアは司祭に結婚式を拒否された。ルチーアを見そめていたその地方の領主の1人が彼女を奪おうとたくらんで手下悪漢を送ったからである。2人は離れ離れに村を去り身を隠すことになったが、それぞれの波瀾(はらん)に富んだ遍歴の物語が、歴史的事実である当時の腐敗した社会や教会の情況や、飢饉(ききん)、ミラノでの民衆蜂起(ほうき)、戦争、ペストの流行などの深刻な事件のリアリスティックな記述の間に、巧みに織り込まれて展開してゆく。文豪の筆はフィレンツェのことばを模範にして、荘厳な趣(おもむき)をもつまでに洗練されていて、美しい。ルチーア誘拐に共謀したある堕落した領主がキリスト教へ回心したため、物語はその頂点で奇跡的に逆転し、捕らえられた彼女は彼の温情により救われた。主人公の2人はその後さらに紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、ハッピー・エンドに至る。

[山本まゆみ]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「婚約者」の意味・わかりやすい解説

婚約者
こんやくしゃ
I promessi sposi

イタリアの詩人,小説家アレッサンドロ・マンゾーニの歴史小説。3巻。 1827年刊。スペイン支配下の北イタリアを舞台に,婚約中の若い男女レンツォとルチーアをめぐって,独立前夜のイタリア国民の政治的悲願を描く。この作品によってマンゾーニはロマン主義に基づくイタリア最大の近代小説を書き上げるとともに,純正なイタリア国語の確立をはかった。

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世界大百科事典(旧版)内の婚約者の言及

【いいなずけ】より

…イタリアの作家A.マンゾーニが1827年に著した歴史小説。《婚約者》の訳名でも知られる。1620年代の末,スペインの支配下にあった北イタリアのコモ湖の近くの村が舞台で,いいなずけの青年レンツォと娘ルチアとが結婚しようとした。…

※「婚約者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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