エリンナ(読み)えりんな(英語表記)Erinna

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリンナ」の意味・わかりやすい解説

エリンナ
えりんな
Erinna

生没年不詳。紀元前4世紀中ごろのギリシアの女流詩人。ロードス島に近い小島テロス島に生まれ、19歳で夭折(ようせつ)したとされる。幼友達バウキスの死を悲しむ歌の断片が残されている。少女時代の2人の友情、バウキスの結婚と死などが、温かい思い出と同時に深い悲しみを込めて歌われている。この詩は『紡錘』という題名で、300行ほどの長さであったらしい。叙事詩韻律で、このような個人的な哀悼の感情を表現したものは当時としてはきわめて特異で、次代のヘレニズム期の詩人たちの先駆となっている。

[橋本隆夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリンナ」の意味・わかりやすい解説

エリンナ
Ērinna

前4世紀末に活躍したギリシアの女流詩人。 19歳で夭折。ドーリス方言による 300行のヘクサメトロス詩『糸巻き』 Ēlakatēによって,女友だちバウキスとともに過した少女時代の経験を語り,彼女の死を哀悼している。ほかに3編のエピグラムが『ギリシア詞華集』に収録されている。

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