「律動的な運動」また「律動的な調和」という意味であるが、一般には「音楽オイリュトミー」として知られている。これは、目で見ることができない音楽の響きの各要素を、聴覚知覚を通して、見ることができる肢体の動きで表現するための方法である。ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーによって、1919年シュトゥットガルトに創設された自由バルドルフ学校の音楽教育で取り入れられた。ここでは、子供の魂に不可欠な音楽を、複数の感覚を同時に働かせて体験させるためには、音楽オイリュトミーが効果的な役割を果たすとして重視されている。そして音程、旋律、リズム、テンポ、和声、シャープとフラット、ピアノとフォルテ、クレッシェンドとデクレッシェンド、協和音と不協和音、そしてフレーズと休止など、音楽の各要素を表現するための一定の法則がある。たとえば音程を表現する場合、1度から7度までの各音程は、身体表現として鎖骨から始まり、上膊(じょうはく)と前膊を通って指先までの動きで表し、最後に、両腕で周囲を広く包み込む動きによって、オクターブを表すというような方法である。
[川原 浩]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…彼は,すべての人間の中には,特定の修行を通して高次の認識を獲得する能力がまどろんでいるが,この認識の上に立てばこれらの問題を近代自然科学と同じ厳密さで探究できると主張し,この行法を《いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか》(1904‐05)の中で提示する一方,《神智学》(1904)と《神秘学概論》(1909)の中で,以上の諸問題に近代的な認識批判の立場にとっても受け入れられるような表現を与えようと努めた。彼の影響は宗教,芸術,教育,医療,農法等の分野にも及んだが,とくにキリスト者共同体運動,新しい運動芸術であるオイリュトミーEurhythmie,自由ワルドルフ学校,類似療法医学,有機農法などが有名である。また個人ではシュワイツァー,ユング,ヘッセ,P.クレー,カロッサ,B.ワルターらにその影響が見られる。…
… 現代は,体操がふたたび多様化の時代に入っている,と考えられる。リズムにのる楽しさを強調したジャズ体操,心肺機能を高める有酸素運動に着目したエアロビック体操(エアロビクス),筋肉の伸展をめざすストレッチ体操をはじめ,東洋の神秘主義的な心身一如の思想に支えられたインドのヨーガ,中国の按摩・導引体操や太極拳,さらに一種独特の直観理論に基づくシュタイナーのオイリュトミー体操にいたるまで,多種多彩である。このような現代の体操の多様化現象は,現代人の健康生活上の不安の反映にほかならないが,その解決法には二つの大きな傾向が認められる。…
※「オイリュトミー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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