日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオヒメ」の意味・わかりやすい解説
オオヒメ
おおひめ / 大姫
crimson jobfish
[学] Pristipomoides filamentosus
硬骨魚綱スズキ目フエダイ科に属する海水魚。神奈川県三崎(みさき)以南、南西諸島、台湾、南シナ海、ハワイ諸島など太平洋、インド洋に広く分布する。体は楕円(だえん)形で、側扁(そくへん)する。両顎(りょうがく)の前端は上下とも同位置か、下顎がわずかに突出する。上顎の後端は瞳孔(どうこう)の前縁下に達する。主上顎骨の表面は無鱗(むりん)で円滑。両顎には外列に小さい犬歯状歯または円錐歯(えんすいし)があり、前部で肥大しない。内列に絨毛(じゅうもう)状歯がある。両眼間隔域は平坦(へいたん)。背びれ軟条数は11本。背びれと臀(しり)びれの最後軟条はやや延長する。体の背面と側面は褐色からラベンダー色や赤紫色まで多様である。吻(ふん)や両眼間隔域に幅が狭い黄色の線や青色の斑点(はんてん)がある。背びれと尾びれは淡青色で、縁辺は赤橙(せきとう)色。最大全長は80センチメートル以上であるが、普通は50センチメートル。水深40~360メートルの岩礁域にすみ、小魚、甲殻類、サルパ類などを食べる。ハワイ近海の産卵期は3~12月であるが、盛期は5~9月。寿命は18年ほどである。一本釣り、底延縄(そこはえなわ)などで漁獲される高級魚。肉は白身で、煮魚、焼き魚、刺身などにするとおいしい魚である。キンメヒメダイに似るが、本種は尾びれの後縁が赤っぽいこと、頭部背縁に虫食い状斑がないことなどで区別できる。
[尼岡邦夫 2018年1月19日]