オキゴンドウ(その他表記)Pseudorca crassidens; false killer whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オキゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

オキゴンドウ
Pseudorca crassidens; false killer whale

クジラハクジラ亜目マイルカ科オキゴンドウ属。体長は雄約 6m,雌約 5m。大型の雄は体重約 2t近くになる。出生体長は 1.5~2.1m。体色は全身黒灰色あるいは黒色で,胸部に淡い灰色の斑を呈する。体型はゴンドウクジラ類中最も細長い。噴気孔は1個で頭部正中線上に位置する。上顎下顎より突き出ており,嘴 (くちばし) はないが吻端はとがる。背鰭 (せびれ) はほぼ体の中央に位置し,先端は鈍くやや小さい。性的成熟に達した雄の背鰭は先端が後方に垂れ,後縁が深く湾曲している。胸鰭は中央付近で急に後方へ曲り,先端はとがる。上下顎骨に大きい円錐歯が左右7~12対並び,餌を噛み,引裂くことができる。通常 10~60頭程度の群れで行動するが,数百頭の大群をなすこともある。大量漂着する種として知られている。高速遊泳が可能である。おもに魚類やイカ類を捕食するが,まれにクジラ類を襲う。熱帯から温帯海域の深海外洋域に分布し,北緯 50゜から南緯 50゜までに出現する。日本では追込漁によって捕獲される。マグロ延縄の食害のほとんどは本種によると考えられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オキゴンドウ」の意味・わかりやすい解説

オキゴンドウ
おきごんどう / 沖巨頭
false killer whale
[学] Pseudorca crassidens

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科のハクジラ。別名シャチモドキ、オオイオクイ(大魚喰)。寒海以外の世界中の暖かい海に分布回遊する。体長は雄5.7メートル、雌5メートルに達する。全身が黒色で、背びれは体中央部よりやや前方にあり、頭が丸く吻(ふん)はない。胸びれは前縁中間部で急に後方へ曲がり、後縁に二つの膨隆部を有する特異な形をしている。歯は上あご、下あごの左右各列8~11本ある。数百頭から1000頭にもなる群れをつくり、魚類とイカ類を食べる。マグロ延縄(はえなわ)にかかった魚を食べ漁業に被害を与えるが、水族館などで飼育調教すると物覚えがよく、人になれ、多くの芸を覚える。

[鳥羽山照夫]


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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「オキゴンドウ」の解説

オキゴンドウ
学名:Pseudorca crassidens

種名 / オキゴンドウ
科名 / マイルカ科
日本にいる動物 / ◎
解説 / 活発に動き、高速で泳ぎます。集団で座礁することがあります。小型のクジラをおそうこともあります。
体長 / 4.3~5.4m、最大6m
体重 / 最大記録はオス2.2t、メス1.1t
食物 / 魚、タコやイカ
分布 / 熱帯から温帯の深い沖合

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世界大百科事典(旧版)内のオキゴンドウの言及

【ゴンドウクジラ(巨頭鯨)】より

…体長は4.5m(雌)~6m(雄)で,胸びれは体長の22~27%と前種よりも長い。ハナゴンドウ(全長3m),オキゴンドウ(全長5.5m)なども暖海性のマイルカ科の仲間で,頭部が大きくまるいので,ゴンドウクジラ類とも称されるが,それぞれ別属の種類である。クジラ【粕谷 俊雄】。…

【シャチ(鯱)】より

…日本ではこのために,和歌山太地の追込み漁法で少数が捕獲されている。熱帯には,本種に似て大型魚を捕食するオキゴンドウが分布する。クジラ【粕谷 俊雄】。…

※「オキゴンドウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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