日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクセンシェーナ」の意味・わかりやすい解説
オクセンシェーナ
おくせんしぇーな
Axel Gustafsson Oxenstierna
(1583―1654)
スウェーデンの伯爵、宰相(在任1612~1654)。カール9世Karl Ⅸ(1550―1611、在位1599~1611)の有力な顧問大臣として活躍。王の死後、グスタフ・アドルフ(グスタフ2世)の摂政となり、国務院を創設した。グスタフの即位後、「難局打破のため、神が贈り給うた手足」といわれるほど国王の厚い信任を受け、グスタフと協調して国会法、政府機関の整備、改革を行って同国の行政機構の基礎を築き、貴族院を設立して貴族体制を固めた。さらに重商主義を採用して、商法、海事法、都市行政法、郵便制度などを施行し、都市、商業の発展に尽力した。ウプサラ大学の長として学問の興隆を図り、また学校法を制定して教育面でも大きな業績を残した。外交では、続行していたデンマーク、ロシア、ポーランドとの対外戦争に巧みな外交手腕で決着をつけ、バルト海帝国の建設に多大な貢献をした。グスタフの三十年戦争介入では、東プロイセンの占領地域の総司令官になるなど、強力に戦場の国王を支援した。グスタフの戦死(1632)後、スウェーデンの最高指導者として、ウェストファリアの講和では同国に有利な条件をもたらした。グスタフの王女クリスティーナの摂政となったが、女王の親政後に政策上の対立が深まり、政治から遠ざかった。同国最大の政治家の一人と目される。
[清原瑞彦 2022年7月21日]