日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノースクリフ」の意味・わかりやすい解説
ノースクリフ
のーすくりふ
Viscount Northcliffe, Alfred Charles William Harmsworth
(1865―1922)
イギリスの新聞経営者。初代ノースクリフ子爵、本名はアルフレッド・チャールズ・ウィリアム・ハームズワース。アイルランドに生まれ、15歳で「ヘンリー・ハウス・スクール」の学校雑誌を編集、一般紙への投書を始めた。いくつかの新聞で働いたのち1888年、読者からの質問に答える記事でできた週刊紙『アンサーズ・ツー・コレスポンデンツ』を創刊、保険や懸賞によって部数を伸ばした。1894年には夕刊紙『イブニング・ニュース』を買収してその立て直しに成功、1896年には『デーリー・メール』を創刊して、現代大衆紙の典型をつくりだした。1903年には日刊婦人新聞として『デーリー・ミラー』を創刊、のちこれを写真新聞に改めた。1908年には高級紙『タイムズ』の経営権を買収、批判を受けながら新聞のチェーン経営に成功した。第一次世界大戦中は政界との関係を深め、特命全権大使としてアメリカへ赴いたり、対ドイツ宣伝活動を指揮するなどしたが、政界では成功せず、失意のうちに死んだ。
[伊藤慎一]