オプリチニナ(英語表記)Oprichnina

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オプリチニナ」の意味・わかりやすい解説

オプリチニナ
Oprichnina

ロシアのツァーリ,イワン4世 (雷帝)が君主権の絶対性を確立するために,それを脅かす貴族の世襲地 (ボッチナ) を没収して創設した特別帝領。リボニア戦争 (1558~83) の継続をめぐって,特別会議 (イズブランナヤ・ラーダ) や貴族らの反対を受けたイワンは,この機会に貴族勢力を一挙に粉砕しようと決意し,戦争遂行に利益を見出す士族 (ドボリャニン ) ,商人層の支持を背景に,モスクワ住民から貴族の「陰謀」を弾圧するための絶対権の承認を得た。これをもって彼は,1565年全土を貴族会議掣肘を受けない皇帝直轄地「オプリチニナ」と,その他の土地「ゼムシチナ」とに分け,反対派貴族の世襲地を没収,次々とオプリチニナに加えた。その結果,中央,海岸地方の経済・軍事上の要地をはじめ国土のなかばが帝領となった。その後帝領は忠誠を誓う士族に封地 (ポメスティエ ) として分与され,彼らは「オプリチニク」と呼ばれる親衛隊を組織,イワンの対貴族恐怖政治の手先となった。この制度は 72年廃止されたが,それまでにツァーリ専制権力はゆるぎない基礎のうえに据えられた。

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