ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オマル・ハイヤーム」の意味・わかりやすい解説
オマル・ハイヤーム
`Umar Khayyām
[没]1131. ニーシャープール
ペルシアの詩人,科学者。雅号ハイヤームは「天幕作り」を意味し,おそらく父の職業からとったものであろう。在世中は詩人としてより偉大な科学者として知られ,セルジューク朝のマリク・シャーの保護を受け,天文観測で活躍,ジャラーリー暦制定に参加した。天文学,数学に精通,多くの科学書をアラビア語で著わし,中世科学史上に「オマル・ハイヤームの時代」を築き,偉大な足跡を残した。余暇にペルシア語で詠んだ『ルバーイヤート』 Rubā`īyāt (四行詩集) が 19世紀の中頃イギリスの詩人 E.フィッツジェラルドによって英訳され,以来詩人としても高く評価されるようになった。今日では世界的に最も有名なペルシア詩人である。彼の詩は,合理主義的悲観論,唯物主義的無神論,宿命論,不可知論が底流をなし,哲学的刹那主義が強調され,宗教的色彩はほとんどない。『ルバーイヤート』にはほかの詩人たちの作品もかなり混入していると思われ,真偽の判定は 19世紀以来諸学者の論議の的となって今日に及んでいる。
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