ペルシア語の四行詩集。ルバーイー(四行詩)の複数形。イラン固有の詩形で民謡に端を発したという。第一行、第二行、第四行の脚韻はかならず押韻し、第三行の脚韻は押韻してもしなくてもよい。10世紀の詩人をはじめとして多くの詩人たちがこの詩形を作詩したが、ペルシア文学史上とくに四行詩人として知られるのは、ウマル・アル・ハイヤーミー、アブー・サイード・ビン・アビル・ハイル、アンサーリー、バーバー・ターヒルの四詩人である。しかしルバイヤートといえば、ペルシア文学代表作品としてウマル・アル・ハイヤーミーを想起するほど彼の作品は世界的に名高い。19世紀なかばイギリスの詩人E・フィッツジェラルドによって流麗な英訳が刊行されて以来、世界中に名声が高まり、日本語を含めて世界の主要な言語に翻訳された。人生の無常、宿命、酒の賛美、一瞬の活用などが基調となっている。
[黒柳恒男]
『小川亮作訳『ルバイヤート』(岩波文庫)』▽『黒柳恒男著『ルバーイヤート』(1983・大学書林)』
ウマル・ハイヤーム作とされる四行詩(ルバーイヤート)を集めた無常観あふれる詩集。19世紀末,フィッツジェラルドの英訳により世界的に著名となり,イランでも改めて評価されるようになった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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