日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリックス」の意味・わかりやすい解説
オリックス
おりっくす
oryx
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科オリックス属に含まれる動物の総称。この属Oryxはアフリカ南部、西部、東部とアラビア南東部に分布し、砂漠や草原に生息する。大形ないし中形のアンテロープで、肩高は90~120センチメートル、体重は200キログラム内外である。雌雄ともに槍(やり)状、またはそれがサーベル状にカーブした長い角(つの)があり、長さは普通75~110センチメートルである。体色や斑紋(はんもん)は種によって異なる。普通5頭から十数頭の小群で暮らすが、雨期にはそれらが集まり、ときに100頭を超す大きな群れで生活する。群れはおもに雌と子からなり、雄は単独あるいは小群でいることが多い。草、木の葉、果実などを食べ、水がなくても長期間生存できる。交尾期になると雄どうしは角を突き合わせて闘うが、雄と雌も角を突き合わせて押し合う「打ち合い」(スパーリング)を行う。また、雄は雌を追いかけ、前足で雌の後ろ足の内側や外側に触れる「走り打ち」(ワイフキッキング)とよばれるディスプレーも行われる。妊娠期間は240~300日で、子は食物の豊かな雨期に産まれる。1産1子。乱獲され生息数は減少し、絶滅した種もあるが、次の4種が知られている。
ゲムズボック(ケープオリックス)O. gazellaはアンゴラ、モザンビーク南部およびローデシア地方から南に分布する。角は100~122センチメートルあり、体は灰茶色で、額から鼻面と目から下あごにかけて黒斑がある。ベイサオリックスO. beisaはエリトリアからタンザニアにかけて分布する。角は70~105センチメートルで、体は黄土色。気が強く、ライオンさえも角で殺した例がある。シロオリックスO. dammahはセネガルからスーダンにかけて分布する。角は100~127センチメートルで、体は黄白色である。古代エジプト人は本種を家畜として飼育していたといわれる。アラビアオリックスO. leucoryxはアラビア半島に少数が生息し、もっとも絶滅が心配されている種である。角は75センチメートルほどで、体は汚れた白色。なお、オリックスはアダックスとともにオリックス亜科Oryginaeを形成する。
[今泉忠明]
オリックス(株)
おりっくす
リース業界の首位企業。1964年(昭和39)日綿実業(現、双日(そうじつ))と三和銀行(現、三菱(みつびし)UFJ銀行)が協力、ほかに商社2社、銀行4行の出資を得て、オリエント・リースを設立、アメリカのリース・ノウハウを導入して出発した。リース対象物件は、当初は産業機械が大半であったが、徐々に商業・流通関連の機器、事務機器、輸送用機器が大きな比重を占めていった。1972年にオリエント・リース・インテリア(現、オリックス・アルファ)、1973年にオリエント・オート・リース(現、オリックス自動車)などの別会社を設立してリース物件の多様化を進め、また1971年の香港(ホンコン)を皮切りに海外現地法人を次々に設立し、国際化を推進していった。1980年代は、M&A(企業の合併・買収)手法により異業種への参入も図り、茜(あかね)証券、不動産管理・運営会社の大阪市岡(いちおか)(現、オリックス・エステート)、プロ野球球団の阪急ブレーブス(現、オリックス・バファローズ)をグループの一員としたほか、欧米への進出が本格化した。1989年(平成1)に社名をオリエント・リースからオリックスに改め、1990年に日本初の先物(さきもの)投資運用専門会社オリックス・コモディティーズを、1991年にはオリックス生命保険を設立し、リースの枠を超えた事業展開を図っている。資本金2210億円(2018)、売上高2兆8628億円(2018年3月)。
[中村青志]