デジタル大辞泉 「リース」の意味・読み・例文・類語
リース(lease)
[類語]賃貸・賃貸し・貸す・貸し出す・用立てる・貸し切る・貸し付ける・貸し渋り・貸与・貸し付け・融資・金融・融通・又貸し・転貸・前貸し・貸し金・貸し切り・ローン・レンタル
アメリカのジャーナリスト、社会改良家、写真家。デンマーク、ユトランド半島の西端の町リーベに生まれる。15歳から大工の仕事に従事、1870年にアメリカに移住。大工、坑夫、日雇い労働者などさまざまな職業を経て1873年からニューヨークで新聞記者となる。1877年『ニューヨーク・トリビューン』New York Tribune紙の警察担当記者となり、当時のニューヨークの代表的なスラム、マルベリー街などを含むロワー・イースト・サイド地区を担当する。1888年『ニューヨーク・イブニング・サン』New York Evening Sun紙に移籍。自ら移民として体験し、記者としての担当地区でもあったスラム街に生きる最下層民の生活実態を写真を用いて取材し、1890年に『他の半分はどう生きているか』How the Other Half Livesを刊行。17点の網版写真など43点の図版を掲載した304ページにわたる詳細な報告により、搾取や犯罪、貧困、低劣な住環境にあえぐスラム街の悲惨な実態の改善を訴え、広い反響を呼んだ。以後もジャーナリストとして貧困などの社会的問題を告発する記事や著作を発表するとともに、ランタン・スライド(幻灯)を用いた講演や、住宅改善などの活動にも従事、社会改良家としての名声を得る。ニューヨーク市の公職から大統領へと登りつめた政治家セオドア・ルーズベルトとは『他の半分はどう生きているか』を通じて知り合い、一連の社会問題への取り組みを通じて親交を深めた。同大統領任期中にその伝記『市民セオドア・ルーズベルト』Theodore Roosevelt, The Citizen(1904)を著している。1914年マサチューセッツ州で死去。
スラム街の悲惨な状況を社会的な問題ととらえ、その改善を訴えるリースのジャーナリストとしての活動は、キリスト教の精神に基づいて社会問題の解決に取り組むアメリカの社会改良主義の運動を背景としていた。またリースが取り組んだ一連のスラム改善キャンペーン記事は、20世紀初頭にさまざまな暴露記事によってセンセーショナルな報道を行って「暴露作家」Muckrakerと呼ばれた記者・小説家たちの先駆とも位置づけられている。
『他の半分はどう生きているか』は網版による写真印刷と、室内や夜間の撮影を可能とするマグネシウムを用いたフラッシュという、どちらも実用化されたばかりの技術によって実現したものであり、とくにフラッシュを使用した写真は、まさに事態の状況を現場で生々しくとらえていた点で画期的であった。こうした新技術を積極的に活用したリースではあったが、彼自身は自らをあくまで写真家ではなくジャーナリスト/社会改良家と考えていた。また一連のスラム街での撮影もリース自身だけによるものではなく、何人かの協力を得て行われたものであった。しかしリースの死後忘れ去られていたネガやランタン・スライドが、1940年代に写真家アレグザンダー・アランドAlexander Alland(1902―1989)によって再発見されると、それらは写真を知られざる現実の報告として社会問題の告発に用いる、1930年代に隆盛したアメリカのソーシャル・ドキュメンタリー写真の先駆として位置づけられ、リースの写真家としての歴史的評価が写真史上に定着していくことになった。
[増田 玲]
『Theodore Roosevelt, The Citizen (1904, Outlook, New York)』▽『How the Other Half Lives; Studies among the Tenements of New York (1971, Dover, New York)』▽『Alexander AllandJacob A. Riis; Photographer and Citizen (1974, Aperture, New York)』▽『大島洋編『写真家の時代2――記録される都市と時代』(1994・洋泉社)』
アメリカの天文学者。ワシントンDC生まれ。1992年マサチューセッツ工科大学(MIT)卒業、1996年にハーバード大学で博士号取得。カリフォルニア大学バークリー校特別研究員、アメリカ宇宙望遠鏡科学研究所研究員などを経て、2006年よりジョンズ・ホプキンズ大学教授となる。2011年に「遠方の超新星観測を通した宇宙膨張加速の発見」の業績により、カリフォルニア大学バークリー校のソール・パールマッター、オーストラリア国立大学のブライアン・シュミットとノーベル物理学賞を共同受賞した。シュミットとリースは、同じ超新星観測プロジェクトチームHigh-z Supernova Search Teamに参加していた。
従来は、宇宙が膨張するその果てでは、膨張速度が衰えていくと推測されていた。1998年、シュミットとリースらの研究チームは、Ⅰa型(いちえーがた)超新星の観測から宇宙の膨張は急加速で勢いを増していくことを解明し、その観測結果を発表した。同じ1998年、パールマッターのプロジェクトチームも同様の観測から同様の結論を報告していた。宇宙が膨張する速度は、宇宙の約70%を占める暗黒エネルギーに起因しているとの説について、リースは「この暗黒エネルギーを追求していくことが宇宙論と物理学における最大の研究課題である」とジョンズ・ホプキンズ大学のウェブサイトで語っている。
[馬場錬成]
ドイツの歴史学者で、お雇い外国人。12月1日、西プロシアのドイッチュ・クローネに生まれる。1880年ベルリン大学に入学し歴史学を専攻、著名な歴史学者ランケから写字生として薫陶を受ける。イギリス中世史の史料研究を志していたが、1886年(明治19)日本の帝国大学より教師として招聘(しょうへい)を受け、翌1887年2月に来日、着任する。帝国大学の文科大学に史学科を設置、リースはここで英語を講義した。また国史学科の新設にも意見書を提出、さらに史料編纂掛(へんさんがかり)の方針にも助言するところがあった。1889年教授をはじめ学生を会員とする「史学会」の創立にも尽力し、東大を中心とするアカデミー史学の基礎を確立した。ランケ流の文献実証的な歴史学研究法に基づき、西洋古代より最近世に至る各講義を行い、『史学雑誌』にも多くの論文を発表した。1902年(明治35)8月に帰国したが、帰国後はかならずしも恵まれた地位を得なかった。1928年12月27日に急逝した。
[松島榮一 2018年8月21日]
ハンガリーの数学者。ジェールに生まれ,チューリヒ工科大学,ブダペスト,ゲッティンゲン,パリの諸大学で学ぶ。1912年にコロジバール大学教授となる。この大学は20年にセゲドに移され,ここでリースはハールHaar A.とともに,非ユークリッド幾何の発見者ボーヤイJ.の名を冠する数学研究所を創設し,かつ雑誌《Acta Scientiarum Mathematicarum》を創刊した。46年にリースはブダペスト大学教授となった。彼は解析学,とくに関数解析に関連した一般理論を研究した。まず関数空間L2の完備性を証明し(1907),これはリース=フィッシャーの定理と呼ばれている。次に完備な関数空間Lp(p≧1)を導入,また関数空間L2の上の連続な線形汎関数の全体はL2自身になることを証明し,これがヒルベルト空間論の基礎定理であることを強調した。またI.フレドホルムの積分方程式論を抽象化して《線形関数方程式論》(1918)を発表した。このようにして,リースの業績は実関数論,複素関数論,劣調和関数論,積分方程式論,関数解析に及んだ。また平均エルゴード定理を証明して統計力学にも寄与した。なお,セーケファルビ・ナジSzőkefalvi-Nagy B.との共著《関数解析学》(1952)はハンガリーの原書からフランス訳したものである。リースの弟マルセル・リースMarcel Riesz(1886-1969)も著名な数学者で,永くスウェーデンのルンド大学の教授をつとめた。
執筆者:吉田 耕作
ドイツの歴史学者。1887年に来日し,1902年まで東京大学で世界史,史学研究法を講じた。彼はランケの弟子として,日本の官学アカデミズムにランケ流の文献的・考証的方法に基づく歴史学研究法を導入し,日本史学の確立を唱え,また史学科の整備,史学会の結成を提唱して実現させた。その弟子には白鳥庫吉,辻善之助,黒板勝美などがいる。帰国後,ベルリン大学,陸軍大学教授を務めた。著書に《世界歴史》《近代日本発展史》などがある。
執筆者:中村 尚美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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(金井圓)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
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1861.12.1~1928.12.27
日本近代歴史学の基を築いたドイツの歴史家。西プロイセン出身。1880年ベルリン大学入学,84年中世イギリス議会制度史の研究で博士の学位を取得。87年(明治20)帝国大学文科大学に招聘され史学科の創設に参与,1902年に帰国するまでヨーロッパ実証史学の移植と西洋史学専攻者の養成に尽力した。帰国後ベルリン大学講師および教授に就任。著書「歴史学方法論」「近代ヨーロッパの基礎」(ともに独文)。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報
出典 (株)ジェリコ・コンサルティング流通用語辞典について 情報
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[動産の賃貸借]
以上主として不動産賃貸借についてみてきたが,動産についてはあまり争いになることはなかった。ところが,近時リースとかレンタルというかたちで動産の賃貸借が盛んに行われるようになってきている。レンタルといわれるものは,総じて,短期間の契約であることが多く,あまり問題にならないが,リースのほうは,信用供与と結合した複雑な契約であることが多く,種々の問題が生じている。…
…【伊藤 清三】。。…
…通常,関数空間においては距離を定義して収束を考える。このような研究方法は,20世紀に入ってから,フレッシェM.Fréchet,リースF.Rieszらによって始められたものである。以下に重要な関数空間の例を挙げる。…
…日本ではこのほか万国史といういい方があったが,国民国家の列挙という意味が強く今は使用されない。 世界史ということばの定着したのは,ドイツの歴史家ランケ晩年の弟子であるL.リースが1887年東京大学に招かれて講義してからではないかと思われる。現在われわれは全地球をおおう普遍的世界のなかにおり,世界は一つであることを日常的に体験しているが,ランケが晩年世界史を構想したときも,あらゆる国家は蒸気機関と電信によってごく密接に統一され,広い地球上にはなんら絶対的の分離はないという世界意識を述べている。…
※「リース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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