改訂新版 世界大百科事典 「カゴタケ」の意味・わかりやすい解説
カゴタケ (籠茸)
Ileodictyon gracile Berk.
担子菌類腹菌目アカカゴタケ科のキノコ。大まかにいえばスッポンタケの仲間で,はじめは柔らかい皮で包まれた爬虫類の卵を思わせるが,皮を破って伸び出た子実体は悪臭の強い黒ずんだ粘液質の胞子のかたまりをつけるという共通の特徴がある。カゴタケの子実体は10~15のかご目をもったまるいかご形,皿状に開いた殻にのり,直径4~5cm,白色。秋,雑木林などの地上に生えるが,ややまれ。オーストラリアでも知られる。アカカゴタケ科にはほかに次のような種がある。カゴタケに似て腕は太く色が赤いものをアカカゴタケClathrus ruber Pers.という。腕が2本で頂端で連なりカニのはさみに似ているカニノツメLinderia bicolumnata(Lloyd)Cunn.,下半部は柱状,上半部が3本に分かれその先端がつながるサンコタケPseudocolus schellenbergiae(Sumst.)Johns.,やや太い茎の先から多数の枝を出してそれを水平にひろげる風変わりなイカタケAseroe arachnoidea Fisch.,アカイカタケA.rubra Bull.ex Fr.がある。いずれも発生はまれであるが,奇抜な形と悪臭で注目をひく。
執筆者:今関 六也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報