改訂新版 世界大百科事典 「カナビキソウ」の意味・わかりやすい解説
カナビキソウ
Thesium chinense Turcz.
日当りのよい芝地などに生えるビャクダン科の多年草。半寄生性で,他の草の根に寄生し養分を得る。高さ15~30cm,全体無毛で淡緑色。柄のない葉は互生で,長さ1~5cmの線形。5月ころ,葉腋(ようえき)に白色の小花をつける。果実は直径約2mmの楕円状球形で,先端に宿存性の花被片が残っている。本州,四国,九州,琉球,朝鮮,中国の暖地に分布する。日本にはもう1種カマヤリソウT.refractum C.A.Mey.があり,北海道,南千島,サハリン,朝鮮,中国北部,シベリアに分布する。全草を中国では解毒,乳腺炎などの治療に用いる。日本でも,はれものの民間薬とされた。カナビキソウ属Thesiumは約300種からなり,アフリカ,アジア,オーストラリアに分布し,いずれも半寄生草本である。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報