日本大百科全書(ニッポニカ) 「カマラサウルス」の意味・わかりやすい解説
カマラサウルス
かまらさうるす
camarasaur
[学] Camarasaurus lentus
竜盤目竜脚形類(亜目)竜脚類(下目)カマラサウルス形類Camarasauromorphaカマラサウルス科Camarasauridaeに属する恐竜。北アメリカ西部やヨーロッパのジュラ紀後期、約1億5570万年~1億4550万年前の地層から産出した。全長約18メートルに達する大形草食恐竜。ユタ州とコロラド州の境付近に分布するモリソン層を代表する恐竜で、1か所から多数の個体が発掘され、群居性があったと推定されている。ブラキオサウルス科Brachiosauridaeと同様に、頸椎(けいつい)や胴椎では椎体に大きな空洞がみられ、頸肋骨(けいろっこつ)がとても長い。しかし、椎骨の棘(きょく)突起が2分岐し深くU字状を呈するという相違点がある。頭骨は短く深く、骨性の棒状のものにくぎられた窓に似た穴がある。鼻孔は眼窩(がんか)の前にあり、あごの筋肉を入れるためもう一つの大きな穴が、下側頭孔(とうこう)の後ろに開いていた。厚い顎骨(がくこつ)が長い歯根を支えていた。歯は大きくスプーン型を示す。釘(くぎ)状の歯をもつディプロドクス類とは食性や摂食法を異にしたのであろう。シダ・トクサ・針葉を食べたらしい。椎骨の数は、頸椎12、胴椎12、仙椎5、尾椎53で合計82個あった。竜脚類としては頸(くび)が短いほうで、頸椎はかなり頑丈にできていた。前肢の第1指と、後肢の第1~3指に鉤(かぎ)づめがある。前後肢の長さが同じくらいなので、肩と腰の高さが水平に近い。尾はやや短めである。モリソン層からは成体から幼体まで、とくに亜成体と幼体が多く発見されている。足跡化石では、竜脚類が一般に群れで行動したことが示されている。当時の北アメリカには裸子植物やシダ植物が繁茂しており、大形竜脚類の食料源となっていたが、アロサウルスAllosaurusなどの肉食恐竜も多かったので、幼体を含めて群れをなし、摂食しながら移動していくことが、天敵からの防衛にも役だったはずである。モリソン層からは、丸くすり減った小石の山が分散して発見されている。これらは吐き戻された胃石(ガストロリス)ではないかと推測されている。体内での消化のための胃石がすり減ってきて消化促進の用をなさなくなると、吐き戻され、また新しい石が飲み込まれるということらしい。
[小畠郁生]