日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラカル」の意味・わかりやすい解説
カラカル
からかる
caracal
[学] Caracal caracal
哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。インド中央部からイラン、イラク、アラビアを経てサハラ砂漠以南のアフリカまでの荒れ地、乾いた草原、低木林に生息する。体長55~75センチメートル、尾長22~33センチメートル、体重8キログラムほどである。体は淡黄色から赤褐色で、耳の先に長毛がある。単独で生活し、おもに朝夕に狩りをする。ネズミ、ウサギ、トビウサギを捕食することが多いが、小形のアンテロープ(レイヨウ)も襲う。またジャンプ力が強く、空中に1.8メートルも跳び上がり、低く飛ぶ鳥をとらえることもする。長期間水なしで生存でき、獲物から水分を補給するといわれる。岩の割れ目や他の動物が捨てた地中の穴を巣とし、9~12月を中心に1産1~4子を産む。妊娠期間は70~78日である。子は産まれたときから不完全ながら目が開いており、10週間で乳離れし、21か月で性成熟する。人になれやすく、かつてインドや小アジアではレイヨウやウサギ、鳥などをとらえるために飼育して訓練された。
[今泉忠明]