トビウサギ(読み)とびうさぎ(英語表記)spring hare

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トビウサギ」の意味・わかりやすい解説

トビウサギ
とびうさぎ / 跳兎
spring hare
[学] Pedetes capensis

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目トビウサギ科の動物南アフリカの開けた乾燥地帯に生息する。体長35~45センチメートル、尾長37~47センチメートル。体色は背側が黄褐色、腹側が黄白色で、尾の先端は黒色。姿はカンガルーに似て、前肢は短く、後肢は極端に長く頑丈である。耳介は長さ8センチメートルに達する。地中に複雑な巣穴を掘って、単独または家族群ですむ。数か所ある入口は内部からふさぐ。日中は巣穴に潜み、夜間外に出て、カンガルーのように後肢を使う巧みな走行と、一跳び8メートルに達する跳躍一夜に数キロメートル、ときに30キロメートルも走り回り、球根、根、穀物昆虫などを食べ、水を飲む。夕方巣穴から出る際には、しばしば突然空中にジャンプで飛び出し、入口で待ち伏せる敵をかわす。繁殖は年1回、1産1~2子である。

今泉吉晴

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トビウサギ」の意味・わかりやすい解説

トビウサギ
Pedetes capensis; springhare

齧歯目トビウサギ科。カンガルーに似た体形をもつ体長 40cm内外の動物。尾でバランスをとり,強い後肢でジャンプし,ひととびが 5mをこえる。乾燥した荒れ地に生息し,土中に穴を掘り,昼間はおもにその中にひそむ。植物の根,種子昆虫類などを食べる。アフリカ東部南部に分布する。

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