オオヤマネコ(読み)おおやまねこ(英語表記)lynx

翻訳|lynx

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオヤマネコ」の意味・わかりやすい解説

オオヤマネコ
おおやまねこ / 大山猫
lynx
[学] Lynx lynx

哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。リンクスともよばれる。ユーラシアと北アメリカの寒帯林に生息し、ときには平原や砂漠でもみられる。体長85~110センチメートル、尾長12~17センチメートル、体重13~18キログラム。体色は黄灰色から赤茶色まで変化があり、黒褐色の斑点(はんてん)がある。耳の先には黒色の長い毛房があり、頬(ほお)には白色の頬ひげがある。単独で生活し、早朝と夕方遅くによく活動。木登りや泳ぎも巧みであるが、地上生で、ウサギ類、若いイノシシ、シカネズミ、鳥などを捕食する。1頭で面積1000~1万ヘクタールの行動圏(ホームレンジ)があり、樹洞、岩の割れ目、草の茂みなどを休息場とする。繁殖期には雌は雄を求めて縄張りを去るが、繁殖期の終わりにはふたたび戻る。2~3月に交尾し、妊娠期間67~74日ののちに1~4子を産む。子は約5か月間乳を飲み、次の交尾期までともに生活する。寿命は飼育下で21年。

 なお、オオヤマネコを1種とする考え方が多いが、ヨーロッパからアジアに分布するものをユーラシアオオヤマネコL. lynx、イベリア半島産をスペインオオヤマネコL. pardina、北アメリカ産をカナダオオヤマネコL. canadensisの3種とする意見もある。

[今泉忠明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例