日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラ・バルガスン」の意味・わかりやすい解説
カラ・バルガスン
からばるがすん
Khara Balghasun
モンゴル北部、アルハンガイ県、オルホン川左岸にある廃墟(はいきょ)。8世紀中葉から9世紀中葉にモンゴリアを中心に栄えたトルコ系遊牧民族国家たる東ウイグル可汗(かがん)(ハガン)国の首都オルドゥ・バリクの跡である。初代の可汗のときにはまだ単に帳幕群があったにすぎないが、第2代葛勒(かつろく)可汗、第3代牟羽(ぼうう)可汗によって、城壁、宮殿、市街区などが徐々に建設されていった。その建設にあたったのは遊牧ウイグル人ではなく、おそらく漢人、ソグド人などであったと推測される。都城の面積は約25平方キロメートルあり、その北東部に位置する要塞(ようさい)(宮殿を含む)の城壁は、東西約500メートル、南北約400メートル、高さは10メートルを超えていた。都市全体はこの要塞区のほかに、寺院・神殿区と市街区の3部よりなり、相当に整備されていたらしい。宮殿は唐風の瓦(かわら)、銅や真鍮(しんちゅう)の金具などで飾られ、一般住居にまでオンドル形式の暖房施設が普及していた。
[森安孝夫]