カガン(その他表記)khaghan (khan)

山川 世界史小辞典 改訂新版 「カガン」の解説

カガン(カン)
khaghan (khan)

ハガンハンハーンともいう。内陸アジアの遊牧国家君主称号。后の称号はカトン(可敦)。古くは,4世紀半ばに鮮卑(せんぴ)が建てた北魏で「可寒(かかん)」の用例があり,5世紀初めには柔然(じゅうぜん)首長が「可汗(かがん)」と称したことが知られている。突厥(とっけつ)ウイグルでも君主の称号としてカガンkhaghanが使われた。モンゴル帝国では,カガンのghが吸収されカアンkha'anとなり,皇帝のみがカアン,一般の君侯は明確に区別されてカンと呼ばれた。しかし,それ以降はこの区別が厳密でなくなり,モンゴル語ではカガン(ハガン,ハーン)khaghanとカン(ハン)khanが併用され,イスラーム史料ではほぼハーンkhānに一本化される。カかハかについては,現代モンゴル語ではハに近いが,モンゴル帝国時代のモンゴル語ではカに近かったとする説がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カガン」の意味・わかりやすい解説

カガン(可汗)
カガン
Qaghan; Khaghan

「ハガン」とも読む。遊牧国家の君主の称号。通説では,5世紀初頭にモンゴル高原を統一した柔然の君主がこれを称したのが始りであるという。-gh-が前の音に吸収されて qaan,khaan,qān,khān,qan,khan (カーン,ハーン,カン,ハン,汗) となった。イスラム世界では「ハーン」と称するのが普通。

カガン
Kagan

1935年までノーバヤブハラ Novaya Bukhara。ウズベキスタン中部,ブハラ州都市。州都ブハラの南東約 10km,ブハラオアシスにある。綿花洗浄,食品 (製粉油脂) ,建設資材などの工場が立地する。サマルカンドトルクメニスタンチャルジョウを結ぶ鉄道が通り,ブハラへの支線が分岐する。人口約3万 5000。

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百科事典マイペディア 「カガン」の意味・わかりやすい解説

カガン(可汗)【カガン】

北アジア遊牧民族における君主の称。略してカーン(汗)khanという。→ハーン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カガン」の意味・わかりやすい解説

カガン
かがん

ハガン

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世界大百科事典(旧版)内のカガンの言及

【突厥】より

…呼称はチュルクTürkの音訳で,〈とっけつ〉とも呼ばれる。その君主は可汗またはハガン(カガン)Qaghanと呼ばれる。その下に小可汗(小ハガン),葉護(ヤブグ)などの諸侯がいて,支配階層を形成した。…

【ハーン】より

…ハン,カーン(カン)とも呼ばれる。もともとはアルタイ系のトルコ,モンゴル系の北方遊牧民がモンゴル高原において使っていた称号で,カガンqaghan(漢字の転写で〈可汗〉)ないしは,それがつづまったカンqan(〈汗〉)がもとの形である。4世紀末の柔然の族長,社崙(しやろん)が丘豆伐可汗Kültebüri Qaghanと称したのが史料にみえる最初で,その後,北アジア,中央アジアに建国したトルコ系の突厥帝国内で広く用いられた。…

【モンゴリア】より

…モンゴル人の土地の意。蒙古とも呼ばれる。おもにモンゴル国(156万6500km2)と中国の内モンゴル(蒙古)自治区(110万km2)を併せた領域を指す。
[自然]
 全体として標高1000m前後の高原状をなす草原地帯である。中央部はゴビと呼ばれる乾燥地帯で,砂漠もしくは草の少ない荒地となっている。一般にゴビの北を漠北(外モンゴル),南を漠南(内モンゴル)と呼ぶが,歴史的にモンゴリアを二分する境界線の役割を果たしてきた。…

【遊牧国家】より

…遊牧民族が建てた国家。スキタイ,匈奴(きようど),鮮卑,柔然,エフタル,突厥(とつくつ),ウイグル,契丹,モンゴルその他ユーラシアのステップの遊牧民族が建てた遊牧国家が多く,歴史的にも重要である。中国ではこれを行国と称することがあったが,それはその王以下がすべて定住せず,季節的移動を行っていたことによる。ウイグル以来城郭都市を築いて首都とすることが生じたが,その場合でも王はそこに常居せず,日ごろはその周辺で季節的な移動を行っていたのである。…

※「カガン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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