日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルスト」の意味・わかりやすい解説
カルスト
かるすと
Karst
スロベニア西部、ディナル・アルプスの北部、アドリア海に臨む石灰岩からなる台地。典型的な石灰岩地形が発達しているため、他の石灰岩地域の地形を表現する場合にも、カルスト地形ということばが用いられるようになった。この地方には中生代の石灰岩層が厚く堆積(たいせき)しているため、石灰岩の主成分である炭酸カルシウムが、炭酸ガスを含んだ雨水や地下水に溶解されてつくられる鍾乳洞(しょうにゅうどう)、ドリーネ、ウバーレ、ポリエ、カレンフェルトなどの特殊な地形をつくっている。この地方の年降水量は1000~1500ミリメートルで、けっして少なくないが、雨水が地中にしみ込むため地表は乾燥地帯のような印象を与える。ヒツジ、ヤギの牧畜が若干みられる。
[三井嘉都夫]