カレーラス(読み)かれーらす(英語表記)José Carreras

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カレーラス」の意味・わかりやすい解説

カレーラス
かれーらす
José Carreras
(1946― )

スペインのテノール歌手バルセロナに生まれ、同地の音楽院で声楽を学んだのち、1971年パルマで開かれたベルディ国際声楽コンクールで1位となる。ソプラノ歌手カバリエらの口添えで同年ロンドンにデビューしたのを皮切りに、世界各地の一流の歌劇場に出演。ベルディを中心にイタリア、フランスのオペラを幅広く歌い、声の甘美さ、フレーズの作り方の純粋な美しさにより、同世代のリリック・テノールの代表的歌手とされている。1973年(昭和48)NHKの招いたイタリア歌劇団に加わって初来日。一時、病気のため舞台から退いたが、89年に復帰、パバロッティドミンゴとともに現代の「三大テノール」とよばれ、1990年サッカー・ワールドカップ・イタリア大会の決勝戦前夜のコンサートで3人は初共演した。以来94、98、2002年のワールドカップほか世界各地で三大テノールのコンサートは行われた。

[美山良夫]

『酒巻和子訳『自伝ホセ・カレーラス――奇跡の復活』(1989・音楽之友社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カレーラス」の意味・わかりやすい解説

カレーラス
Carreras, José

[生]1946.12.5. バルセロナ
スペインのオペラ歌手(リリック・テノール)。本名 Josep Maria Carreras i Coll。軽やかで叙情性ある声と端正な顔立ちで人気を博し,ルチアーノ・パバロッティ,プラシド・ドミンゴとともに「三大テノール」と称された。幼少の頃から音楽の才能を示し,7歳でバルセロナ音楽院に入学。10代後半はバルセロナ大学で化学を学ぶが,その間も音楽の勉強を続けた。1970年バルセロナでビンチェンツォ・ベリーニのオペラ『ノルマ』のフラビオ役でデビュー。この舞台で主役を演じたスペインの著名なソプラノ歌手モンセラート・カバリエに出会い,世界の舞台への後ろだてを得る。1971年イタリアのパルマに『ラ・ボエーム』,翌 1972年アメリカ合衆国のニューヨークシティー・オペラに『蝶々夫人』,1974年メトロポリタン歌劇場に『トスカ』でそれぞれデビュー。以後世界中で精力的に活動を行なう。1987年レコーディング中に倒れ,白血病と診断されるが,骨髄移植と化学療法を経て完全復活を遂げた。1992年のバルセロナ・オリンピック競技大会の開会式・閉会式では音楽監督を務めた。

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