日本大百科全書(ニッポニカ) 「パバロッティ」の意味・わかりやすい解説
パバロッティ
ぱばろってぃ
Luciano Pavarotti
(1935―2007)
イタリアのテノール歌手。モデナ生まれ。1961年デビュー。63年アムステルダムで国外デビュー。65年ミラノ・スカラ座に初登場、67年にはカラヤン指揮、ベルディの『レクイエム』の独唱者として大成功を収め、イタリアのテノールの代表的存在として世界各地の主要歌劇場で活躍。ベルディのほかドニゼッティ、ベッリーニなどのベルカント・オペラを得意としていた。大きな体格ではあるが、声質はむしろ細く甘美であり、その明快で輝かしく、知的にコントロールされた表現も高く評価され、とくにアメリカでは絶大な人気があり、またテレビなどメディアへの登場も多かった。カレーラス、ドミンゴとともに今日の「三大テノール」と称され、1990年サッカー・ワールドカップ・イタリア大会の決勝戦前夜のコンサートで3人は初共演した。以来94、98、2002年のワールドカップでも三大テノールのコンサートは行われた。1971年(昭和46)イタリア・オペラ団の一員として初来日以来、たびたび日本を訪れ、オペラ、三大テノールによるコンサートなどに出演した。ほか2006年のトリノ冬季オリンピック開会式への出演、大規模な野外コンサートなど歌劇場以外での活動も多彩であった。
[美山良夫]
『『ONTOMO CD BOOKS アーティスト・シリーズ2 ルチアーノ・パヴァロッティ』(1990・音楽之友社)』▽『カンディド・ボンヴィチーニ著、白崎容子訳『ルチャーノ・パヴァロッティ――友人が語るその素顔』(1993・音楽之友社)』▽『ルチャーノ・パヴァロッティ、ウィリアム・ライト著、カリニカ訳『パヴァロッティ マイ・ワールド』(1996・小学館)』▽『スカイラー・チェイピン著、藤井留美訳『わが友、すばらしきオペラの芸術家たち』(1998・フジテレビ出版)』▽『マーシャ・ルイス著、石川武夫訳『三大テノール――その華麗なる舞台裏』(1998・ヤマハミュージックメディア)』▽『レオネッタ・ベンティヴォリオ編著、白崎容子訳『わたしのヴェルディ――16人のアーティストが語る12の傑作オペラ』(2001・音楽之友社)』▽『ヘレナ・マテオプーロス著、岡田好惠訳『偉大なるテノールたち――カルーソーから現代まで』(2002・アルファベータ)』