日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワラサイコ」の意味・わかりやすい解説
カワラサイコ
かわらさいこ / 河原柴胡
[学] Potentilla chinensis Ser.
バラ科(APG分類:バラ科)の多年草。高さ20~40センチメートル、まれに70センチメートルになるものもある。全体に長毛がある。根は太く、大きい。葉は羽状複葉、小葉は深く羽状に切れ込み、裏面に白色の軟毛が密生する。6~8月、茎の先端に径約1センチメートルの黄色の5弁花を多数開く。果実は痩果(そうか)。本州、四国、九州の日当りのよい河原や海岸の砂地に生え、まれに原野や山地にもみられる。中国、朝鮮、ロシア、台湾にも分布する。名は、植物体がセリ科のサイコ類に似ており、河原に生えることによるという。中国では全草を生薬(しょうやく)として使用する。本種に似るが、小葉間に小裂片葉がなく、小葉も数少なく、大きく広いヒロハノカワラサイコP. niponica Th. Wolfは本州と北海道に分布する。
[鳴橋直弘 2019年12月13日]