カントラプラスの星雲説(読み)カントラプラスノセイウンセツ

デジタル大辞泉 「カントラプラスの星雲説」の意味・読み・例文・類語

カントラプラス‐の‐せいうんせつ【カントラプラスの星雲説】

1755年にカントが唱え、96年にラプラスが補説した、太陽系起源についての説。緩やかに回転する高温星雲ガス塊が、冷却収縮するにつれて回転を速めて環を生じ、環は球状にまとまって惑星となり、中心に残ったガスが太陽になったというもの。星雲説

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精選版 日本国語大辞典 「カントラプラスの星雲説」の意味・読み・例文・類語

カント‐ラプラス‐の‐せいうんせつ【カントラプラスの星雲説】

  1. 〘 名詞 〙 ( カントは Kant ラプラスはLaplace ) 太陽系の起源に関する仮説の一つ。ゆるやかに回転する高温のガス状星雲が冷却、収縮するにつれて回転を速め、遠心力によって分離した物質が惑星となり、中心は太陽となったというもの。一七五五年、ドイツの哲学者カントが初めてとなえ、一七九六年、フランスの天文学者ラプラスが完成。星雲説。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カントラプラスの星雲説」の意味・わかりやすい解説

カント‐ラプラスの星雲説
かんとらぷらすのせいうんせつ

太陽系成因論の一つ。カントにより提唱され(1755)、ラプラスが発展させた(1796)。回転する高温の星雲が重力によって収縮し中央に原始太陽をつくる。収縮とともに回転速度が増し、その遠心力により原始太陽赤道面から環状のガスが次々にはがれ、それが冷却凝集して惑星となった、とする。「角運動量の困難」が指摘されて遭遇説にとってかわられるが、最初の科学的な成因論として有名。

[中澤 清]


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百科事典マイペディア 「カントラプラスの星雲説」の意味・わかりやすい解説

カント=ラプラスの星雲説【カントラプラスのせいうんせつ】

星雲説

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カントラプラスの星雲説」の意味・わかりやすい解説

カント=ラプラスの星雲説
カントラプラスのせいうんせつ

星雲説」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のカントラプラスの星雲説の言及

【カント】より

…当地のフリードリヒ学舎を経てケーニヒスベルク大学に学び,当時ドイツの大学を支配していたライプニッツ=ウォルフの哲学に触れるとともに,師M.クヌッツェンの導きのもとに,とりわけニュートン物理学に興味を寄せる。大学卒業後ほぼ10年間家庭教師をつとめながら研究を深め,1755年《天界の一般自然誌と理論――ニュートン物理学の原則に従って論じられた全宇宙の構造と力学的起源についての試論》を発表,ニュートン物理学を宇宙発生論にまで拡張適用し,のちに〈カント=ラプラスの星雲説〉として知られることになる考えを述べる。同年,ケーニヒスベルク大学私講師となり,論理学,形而上学はじめ広い範囲にわたる科目を講ずる。…

【太陽系】より

…一つの恒星,太陽を中心とする多数の小天体の集団を太陽系という。太陽系を構成する小天体は,大きさと運動の違いによって惑星,衛星,小惑星,すい星などの種類に分けられる。太陽系の諸天体は万有引力によって相互に結びつき,整然とした力学系を構成している。 太陽系の主要な構成員は(太陽以外では)惑星と呼ばれる天体で,太陽に近いほうから水星,金星,地球,火星,木星,土星,天王星,海王星,冥王星の9個があって太陽を公転している(図1)。…

【天界の一般自然誌と理論】より

…この付録は論外として,本書に展開されたカントの太陽系,銀河系宇宙に関する構想は,定性的には現代にも通用するものを含んでいて興味深い。ところで本書は市販される前に出版社が破産したため学界に知られるのが遅くなったことと,その41年後に天体力学者として著名なP.S.ラプラスが類似の構想の太陽系生成論を提唱したことから,カントの論説は〈カント=ラプラスの星雲説〉と呼ばれている。【堀 源一郎】。…

【天文学】より

…この著しい事実から出発しカントは太陽系の生成を論じ,星雲の冷却に伴って惑星が生まれたと考えた。これを,いっそう厳密に論じたのはラプラスであって,ふつうに〈カント=ラプラスの星雲説〉と呼ばれている。W.ハーシェルはまた,太陽系が全体として空間中をヘルクレス座の方向に運動することを発見した。…

※「カントラプラスの星雲説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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