星雲説
せいうんせつ
nebular hypothesis
1755年,イマヌエル・カントが提出し,1796年にピエール=シモン・ラプラスが科学的に論理づけた太陽系起源説。太陽系は,初め大きなガス星雲であって,それが自転しつつ冷えて収縮するにつれ中央部は小さく固まり,残った周縁部はいくつかの土星の環のようなリングになり,それが固まって惑星をつくるというもの。これは自然科学に進化の思想をもちこんだ最初のものであり,また諸惑星の軌道面の一致など太陽系の諸特性をよく説明しているが,その運動量配分などを説明することができず,やがて 20世紀の初めに出された微惑星説,さらに潮汐説,連星起源説などに取って代わられた。しかし 1944年,カルル・フリードリヒ・フォン・ワイゼッカーの提出した乱流渦動説による新星雲説が力を得,大局的には今日,星雲起源の太陽系という考えが主流となっている。(→宇宙進化論, 宇宙の起源と進化)
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星雲説【せいうんせつ】
カントが提唱し(1755年),ラプラスが力学的修正を施した(1796年)太陽系生成理論。ゆるやかに回転する星雲状ガス塊が冷却,収縮するにつれて,全体の回転が速まり,赤道部から物質が次々に環状に分離,各環は球状にまとまって惑星になり,中心に残ったガス球が太陽となったとするもの。最初の科学的な太陽系生成理論。
→関連項目志筑忠雄|太陽系|ラプラス
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せいうん‐せつ【星雲説】
〘名〙 太陽系の
成因についての
仮説。
原始星雲が冷却、収縮、回転などの作用を経て太陽や諸惑星になったという説。カント‐ラプラスの星雲説は有名。
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世界大百科事典内の星雲説の言及
【太陽系】より
…ただしラプラスの説も半ば通俗的な概論に終始したものである。カント=ラプラスの説の特徴の一つは星雲から太陽と惑星とが同時に生まれたとする主張で,カント=ラプラス星雲説と呼ばれる。その後この星雲説に相対する遭遇説,捕獲説がいくつも現れたが,これらのすべてに共通の特徴は太陽が先に生まれその後で惑星がつくられたという主張である。…
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