カーゲル(読み)かーげる(英語表記)Mauricio Raúl Kagel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーゲル」の意味・わかりやすい解説

カーゲル
かーげる
Mauricio Raúl Kagel
(1931― )

アルゼンチン生まれの作曲家。生地ブエノス・アイレスの大学で哲学文学を学んだのち、1957年ドイツのケルン移住。以後、現代音楽の指導的な立場にあって多方面に活躍。60~66年のダルムシュタット現代音楽夏期講座の講師に招かれたほか、ニューヨーク州立大学でも教鞭(きょうべん)をとった。演劇、ラジオ、テレビ、映画などのマルチメディアを利用した総合的な音楽体験を目ざし、新しい楽器奏法を開発して偶然性を導入するなど、作風ユーモアにも富む。音楽に舞台上の演技を組み入れた作品群、いわゆるシアター・ピース、ミュージック・シアター(音楽劇)の先駆者でもある。代表作は『ヘテロフォニー』(1961)、『マッチ』(1964)、『ルートウィヒ・ファン』(1969)、『国立劇場』(1970)、『カントリーミュージック』(1973)、『Rrrrrrr・・・』(1981)、『ファンファンファーレン』(1993)など。

[細川周平]

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改訂新版 世界大百科事典 「カーゲル」の意味・わかりやすい解説

カーゲル
Mauricio Kagel
生没年:1931-

アルゼンチン生れの作曲家。カーヘルとも呼ぶ。作曲を独学し,映画や音楽にたずさわっていたが,1957年ケルンに移住,以後西ドイツを中心に欧米で特異な音楽活動をすることで知られる。出発点となったのは第2次世界大戦後のセリー音楽であり,後にはダルムシュタットの講習会に参加するようになる。一方ではケージの影響を受けるが,それは特に素材のとらえ方や身体の動きを音楽の要素に取り入れたことに顕著である。《アナグラマ》(1958)などでは非合理な響きや騒音の厳密な構成という独自な様式がとられ,それは後に楽器や奏法の探究を介して,シアター・ピース(奏者の身ぶりが重要な要素となる音楽)や映像,電子機器を用いた特異な音楽(演奏)となっていく。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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