カーソン(読み)かーそん(英語表記)Rachel Louise Carson

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーソン」の意味・わかりやすい解説

カーソン
かーそん
Rachel Louise Carson
(1907―1964)

アメリカの海洋生物学者、作家。ペンシルベニア州スプリングデール生まれ。ペンシルベニア女子大学、ジョンズ・ホプキンズ大学動物学科大学院に学び、1932年修士号を取得。メリーランド大学で短期間教鞭(きょうべん)をとったのち、政府の漁労野生生物局に海洋生物学者として入り、のちにウッズ・ホールとボーフォートの海洋生物学研究所に勤めた。少女時代から文章家を目ざし、農薬の危険性を警告した『沈黙の春――生と死の妙薬』(1962)によって世界的名声を博した。この著作は文明諸国に大きな衝撃を与え、自然保護や環境保全の重要性を認識させる先駆けとなった。

藤原英司

『青樹簗一訳『沈黙の春――生と死の妙薬』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーソン」の意味・わかりやすい解説

カーソン
Carson, Rachel (Louise)

[生]1907.5.27. ペンシルバニア,スプリングデール
[没]1964.4.14. メリーランド,シルバースプリング
アメリカの科学評論家,生物学者。ペンシルバニア女子大学で動物学を専攻し,ジョンズ・ホプキンズ大学大学院,ウッズホール海洋生物学研究所などで研究を続けたのち,メリーランド大学で教えた (1931~36) 。 1936年8月商務省漁業水産局に入る。政府刊行の雑誌"Fish and Wild Life"の編集長 (49~52) 。退職後,著作活動を通じて農薬や公害による環境破壊を警告し,とりわけ 62年に出版された『沈黙の春』 Silent Springは各国で大きな反響を呼んだ。

カーソン
Carson, Edward Henry, Baron of Duncairn

[生]1854.2.9. ダブリン
[没]1935.10.22. ケント,ミンスター
アイルランド出身のイギリスの政治家,弁護士。下院議員,アイルランド法務次官を歴任アルスター統一党の指導者でアイルランド自治法案抵抗。アルスターと南部分離賛成。第1次世界大戦中 H.アスキス内閣の法務長官,ロイド・ジョージ内閣の海相。 1921年政界を退き男爵となり,司法職についた。

カーソン
Carson, Christopher

[生]1809.12.24. ケンタッキーマディソン
[没]1868.5.23. コロラド,リオン砦
アメリカの毛皮取り猟師。「キット・カーソン」の愛称で知られる。ガイドで,インディアンの担当官となる。軍人として対インディアン戦争でも活躍した。アメリカ西部開拓時代の典型的西部人。

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