ケンタッキー(読み)けんたっきー(その他表記)Kentucky

翻訳|Kentucky

精選版 日本国語大辞典 「ケンタッキー」の意味・読み・例文・類語

ケンタッキー

  1. ( Kentucky ) アメリカ合衆国中東部の州。北部をオハイオ川が流れ、東部をアパラチア山脈が走る。州都フランクフォート。一七九二年に一五番目の州としてバージニア州から分離した。機械工業、農業、牧畜を主とし、タバコ生産量が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケンタッキー」の意味・わかりやすい解説

ケンタッキー
けんたっきー
Kentucky

アメリカ合衆国、中央東部の州。面積10万4623平方キロメートル。人口404万1769(2000)。北はオハイオ川が境となりオハイオ、インディアナ、イリノイ州、西はミシシッピ川が境となりミズーリ州、南はテネシー州、東はバージニア州とウェスト・バージニア州にそれぞれ接する内陸州である。州都フランクフォート。気候は湿潤温暖で大陸性、ルイビルの年降水量は1090ミリメートル、1月の平均気温は1℃、7月の平均気温は25℃である。

 東部はアパラチア山脈西縁のカンバーランド台地で、中央北部は西洋シバの一種であるブルーグラスの肥沃(ひよく)な草原地域、中央南部は丘陵性のペニーロイヤル地域といわれる石灰岩地帯である。この地域にはカルスト地形がみられ、その代表が全長約580キロメートルの鍾乳洞(しょうにゅうどう)マンモス・ケーブである。北西部は石炭が埋蔵されている丘陵地帯で、ウェスタン・コールフィールド(西部炭田)とよばれる。テネシー、オハイオ、ミシシッピの3河川に囲まれた最西端の部分はパーチェス地域(チカソー・インディアンから購入した土地)であり、東側の台地と西側の氾濫原(はんらんげん)からなる。

 1970年代前半までは農業所得が工業所得を上回っていたが、70年代後半には逆転して工業が第一の産業となった。主要工業は機械、電気器具、化学製品、食品加工、農業用機械、たばこなどであり、これらの活動はオハイオ川沿岸の都市に集中している。東部のアパラチアでは石炭の採掘が行われ、合衆国第1位の生産量をあげている。ブルーグラス地域は牧草がよく生育し、石灰岩地域を流れてくる水が家畜の骨格をじょうぶにするという理由でサラブレッドの飼育が盛んである。またタバコの生産も多く、その他の作物としてはトウモロコシ、飼料用干し草、大豆、小麦があり、トウモロコシは飼料としてだけではなくバーボン・ウイスキーの原料となる。

 ケンタッキーはアパラチア山脈の西側では最初にアメリカ人による開拓が行われた所である。最初の定住地は1774年に建設されたハロッズバーグであった。1775年ダニエル・ブーンがテネシーからカンバーランド峠を越えるウィルダーネス・ロードを開いてから開拓者が流入し、76年の独立当時にはバージニア州の一つの郡であったが、1792年合衆国15番目の州となった。マンモス・ケーブ国立公園のほか、歴史的な名所も多く、リンカーン公園や南部連邦の大統領J・デービスの生誕地などが有名である。またルイビルでは、毎年ケンタッキー・ダービーが催される。州歌はフォスターの『マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム』。

[菅野峰明]


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改訂新版 世界大百科事典 「ケンタッキー」の意味・わかりやすい解説

ケンタッキー[州]
Kentucky

アメリカ合衆国南部の州。公式名称はCommonwealth of Kentucky。略称Ky.,Ken.。連邦加入1792年,15番目。面積10万4623km2,人口433万9367(2010)。州都はフランクフォート,最大都市ルイビル。州名はイロコイ語あるいはチェロキー語で〈暗く血まみれの土地〉〈大草原〉〈荒地〉〈明日の土地〉などを意味するとされる。1783年パリ条約により合衆国領となった。地形は丘陵性で,西流するオハイオ川が北側の州境をなす。気候は湿潤温暖で,州中央部はブルーグラス地帯として知られ,〈ブルーグラス・ステートBluegrass State〉の別称が生まれた。このケンタッキー・ブルーグラスを利用したサラブレッド競走馬の飼育で知られ,レキシントンがその中心をなす。また1875年以来続けられてきたルイビルのケンタッキー・ダービー(5月の第1土曜日に開催)は,世界的に有名。アパラチア炭田地帯の中心をなし,ウェスト・バージニア州とともに全米有数の石炭(歴青炭)産地である。工業化は遅れているが,バーボン・ウィスキー,繊維,タバコ製造などの伝統的な工業が見られる。農業面でも先進地域とはいえないが,タバコ(2位,1980)をはじめ,トウモロコシ,牧草,大豆,小麦などが栽培され,多角化が進んでいる。マンモス・ケーブ国立公園,リンカンやJ.デービスの生誕地など,観光地にも恵まれている。ケンタッキーは1770年代にD.ブーンをはじめとする開拓者によって植民が進んだ。これはアパラチア山脈以西における白人による本格的開拓の始まりであった。南北戦争時には連邦にとどまったが,社会・経済的に南部とのつながりが強かったため,南軍に参加した州民も多かった。ケンタッキー・フォークソングと手工芸品が今に伝わる。S.C.フォスターの《マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム》は,州歌として親しまれている。
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百科事典マイペディア 「ケンタッキー」の意味・わかりやすい解説

ケンタッキー[州]【ケンタッキー】

米国中南部の州。略称KY。アパラチア山脈西麓の丘陵地帯が大部分で,オハイオ川が北側の境界をなす。農業が主で,タバコ,トウモロコシ,大豆,小麦,果物の栽培が盛ん。牛,豚の畜産もあり,サラブレッド競走馬の飼育で知られる。1875年以来ルイビルで開催されてきたケンタッキー・ダービーは世界的に有名。歴青炭,石油,天然ガスの産出も多い。食品加工,機械工業も行われる。バーボン・ウィスキー,タバコ業は伝統的産業。南部はTVAの一環をなし,人造のケンタッキー湖がある。マンモス・ケーブ国立公園は観光地。1765年最初の植民。1783年パリ条約により合衆国領に。バージニアの一部であったが,1792年連邦加入。州都フランクフォート。最大都市はルイビル。S.C.フォスターの《マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム》が州歌となっている。10万2269km2。441万3457人(2014)。

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デジタル大辞泉プラス 「ケンタッキー」の解説

ケンタッキー

①《Kentucky》アメリカ海軍の戦艦。キアサージ級の前弩級戦艦。船体識別番号はBB-6。1898年進水、1900年就役。グレート・ホワイト・フリートの世界一周航海(1907~1909年)に参加。1909年に一度退役するが、1915年再就役、1920年に退役。1923年、スクラップとして売却。
②《Kentuckey》アメリカ海軍の戦艦(未完成艦)。アイオワ級。船体識別番号はBB-66。1940年に発注され建造開始したが、1947年に建造中止。1956年には衝突事故により損傷した同型艦のウィスコンシンに、艦首部分が移植された。1958年、スクラップとして売却。

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世界大百科事典(旧版)内のケンタッキーの言及

【ブルーグラス】より

…5弦バンジョー,フラット・マンドリン(背の平たいマンドリン),ギターなどを使い,電気楽器を含まないのを特徴とする。この種の音楽を広めたビル・モンローBill Monroeが,1939年に組織したグループをブルーグラス・ボーイズと名づけたのが名称の起りで,ブルーグラスとはモンローの出身地ケンタッキー州の愛称である。【中村 とうよう】。…

※「ケンタッキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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