沈黙の春(読み)チンモクノハル

デジタル大辞泉 「沈黙の春」の意味・読み・例文・類語

ちんもくのはる【沈黙の春】

《原題Silent Spring米国の海洋生物学者カーソン著書。1962年刊。農薬による環境汚染問題を指摘した作品。別邦題「生と死の妙薬」。

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百科事典マイペディア 「沈黙の春」の意味・わかりやすい解説

沈黙の春【ちんもくのはる】

米国の生物学者レーチェル・H.カーソンが1962年に刊行した著作。カーソンは,当時米国の各地で行われていたDDTなど有機塩素系農薬の大量空中散布によって,野鳥魚介類などが大きな被害を受けるだけでなく,散布された農薬が農作物や魚介類に残留して人体に取り込まれ,人の健康に悪影響を及ぼす危険性があることを,この本で初めて警告した。発売後半年で100万部も読まれ,これをもとに有機塩素系農薬の法的規制に踏み切った国もある。米国でも1964年に連邦議会殺虫殺菌・殺鼠剤規制法を改正,1970年以降は化学物質から人間の健康と環境を守るために毒物規制法や水道安全法,農薬規制法の改正法など30もの関連法の制定が続いた。

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改訂新版 世界大百科事典 「沈黙の春」の意味・わかりやすい解説

沈黙の春 (ちんもくのはる)
Silent Spring

農薬による環境汚染を告発した,アメリカの海洋生物学者でエッセイストのレーチェル・カーソンRachel L.Carson(1907-64)の著書。彼女は殺虫剤除草剤として大量に散布されてきたDDTなどの有機化合物が,生態系連鎖のなかで蓄積されて動植物や人間に深刻な毒性をあらわし,微妙な〈自然の均衡〉を破壊していると,多くの実例を紹介しながら警告した。1962年に出版された本書ベストセラーとなり,日本でも64年に紹介された。現代のエコロジー運動の意識を覚醒させることに大きく寄与した書である。
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旺文社世界史事典 三訂版 「沈黙の春」の解説

沈黙の春
ちんもくのはる
Silent Spring

アメリカの海洋生物学者レーチェル=カーソンの著書
カーソン(1907〜64)は,DDTなどの有機化合物が自然の均衡を破壊しているとその危険性を警告した。本書は,1962年に出版されてベストセラーとなり,現代エコロジー運動の発展に寄与した。

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