改訂新版 世界大百科事典 「キャグニー」の意味・わかりやすい解説
キャグニー
James Cagney
生没年:1899-1986
不滅のギャング映画スターとして知られるアメリカの映画俳優。ニューヨーク生れ。ギャング映画流行のはしりとなった《民衆の敵》(1931)で,メエ・クラーク扮する情婦の顔に朝食のグレープフルーツを押しつけてつぶすシーンを演じて,女性尊重を建前とするアメリカ社会に大反響を呼ぶ。以後,《汚れた顔の天使》(1938),《彼奴は顔役だ!》(1939)といったギャング映画の名作に主演。戦後もガスタンクとともに壮烈な爆死をとげる《白熱》(1949),《明日に別れの接吻を》(1950)などがある。しかし,彼自身は,ブロードウェーのボードビル出身の〈ソング・アンド・ダンス・マン(歌って踊る芸人)〉としての誇りをもち続け,ブロードウェーの大立者ジョージ・M.コーハンの伝記を演じたミュージカル映画《ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディー》(1942)ではその精髄を見せてアカデミー主演男優賞を受賞した。ジョン・フォード,マービン・ルロイ共同監督の《ミスター・ロバーツ》(1955)などでかくしゃくたるがんこおやじを演じたのち,その〈マシンガンのような早口〉の健在ぶりを印象づけた《ワン・ツー・スリー》(1961)を最後に引退。1981年に《ラグタイム》にゲスト出演した。自伝《汚れた顔の天使》がある。
執筆者:宇田川 幸洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報