キャラバン(その他表記)caravan

翻訳|caravan

デジタル大辞泉 「キャラバン」の意味・読み・例文・類語

キャラバン(caravan)

砂漠を隊を組んで行く商人一団隊商
宣伝販売などのため各地をまわる一団。
登山調査のため辺地を行くこと。また、その一団。
トレーラーハウス
[類語]隊商

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精選版 日本国語大辞典 「キャラバン」の意味・読み・例文・類語

キャラバン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] caravan )
  2. 砂漠を隊を組んで通行する商人の一団。隊商。
    1. [初出の実例]「ほのかにも誘はれ来(きた)る隊商(カラバン)の 鈴鳴る…あはれ、今日もまた恐怖(おそれ)の予報(しらせ)」(出典:邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・魔国のたそがれ)
  3. 宣伝販売・取材活動・調査などの目的で(隊を組んで)各地を回ること。
  4. キャラバンシューズ」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「キャラバン」の意味・わかりやすい解説

キャラバン
caravan

ペルシア語カールバーンkārvānに由来し,隊商を意味する。アラビア語ではイール`īr,カーフィラqāfila,キタールqiṭārという。馬,ラバロバラクダなどで編成されるが,長距離間の大量輸送力という点では,1頭で270kgほどの積載能力があるラクダが最も優れている。アラブの大征服以後,ラクダを主体としたキャラバン交通と運輸のネットワークが,東は中央アジア,西はマグリブ地方やサハラ砂漠の南縁部まで広がる砂漠・ステップ地帯に張り巡らされて,長距離間の交通は飛躍的に発達し,人的交流,貿易と情報伝達を容易にして,イスラム世界の形成と統合を支える基幹となったといえる。キャラバンの組織と運営のうえで遊牧系の諸部族,とくにアラブの大征服以後,各地に分散移住したアラブ系遊牧民たちが重要な役割を果たした。キャラバンの安全運営には,通過する地域を支配領域とした地方勢力,とくに広い地域を牧畜・移動する遊牧系の諸部族との通行安全と保護のための契約関係(アマーンamānあるいはヒマーヤḥimāya)が成立していることが不可欠であった。また運輸のための役畜の貸与,道案内,水場の探知,停泊地の選定,人および積荷の保護・管理や情報提供などは遊牧民たちの職務であった。キャラバンの1日の行動距離は,その編成の目的・規模や道中の地形,季節などの条件によって違ったが,1日6~10時間に及ぶ移動距離に合わせて,水場,停泊地,キャラバン・サライが設置された。イエメン地方やペルシア湾岸に位置したインド洋貿易の港市とシリアエジプト地方とを結ぶキャラバンは,〈季節の大キャラバンqāfila al-mawsim〉と呼ばれて,1000~5000頭に及ぶラクダの大編成が組織され,そのキャラバンの通過に伴って内陸部の中継都市では大市が開かれた。また巡礼の月(とくにラジャブ月とズー・アルヒッジャ月)に合わせてメッカ,メディナにはエジプト,シリア,イラク,イエメンから大編成のキャラバンが到着した。巡礼キャラバンは巡礼者のほか,商人,職人,学者や移住者たちを運んだ。このように,キャラバンはイスラム世界の交流と融合を支える重要な役割を担っていた。
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百科事典マイペディア 「キャラバン」の意味・わかりやすい解説

キャラバン

ペルシア語カールバーンに由来し,隊商を意味する。内陸の大旅行のために多数の人びとが隊を組み,ラクダや馬などを用いて編成する旅行団。キャラバンによる交通はおもにアジア,アフリカの乾燥地帯で古くから行われた。とくに7世紀のアラブ軍による征服活動以降,東は中央アジアから西はマグリブ地方をへてサハラ砂漠以南まで,多くの隊商路ができ,東西の文物の交流や聖地に向かう巡礼団の旅のルートとなった。中東では隊商宿をキャラバン・サライと呼ぶ。
→関連項目シルクロード

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デジタル大辞泉プラス 「キャラバン」の解説

キャラバン〔曲名〕

アメリカのポピュラー・ソング。作曲:デューク・エリントン、ファン・ティゾール。原題《Caravan》。1936年初演。エリントン自身の楽団の持ち歌として知られるが、ほかにも多くのミュージシャンが演奏している。

キャラバン〔自動車〕

日産自動車が1973年から製造、販売している乗用車。4、5ドアの大型ワンボックス。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャラバン」の意味・わかりやすい解説

キャラバン
きゃらばん

隊商

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャラバン」の意味・わかりやすい解説

キャラバン

隊商」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のキャラバンの言及

【サハラ砂漠】より

…サハラでの国境は植民地分割の際,イギリス,フランスなど列強の都合で地図上に引かれたため,直線が多く,不明確なものもあり,民族の分布や地下資源の存在がからんで,独立後も紛争の種となっている。古くからのキャラバン・ルートは危険なエルグを避け,目標がとりやすく水も得やすい山岳砂漠や山麓を通っていた。20世紀に入り自動車交通の時代になると,エルグと山岳を避け,台地砂漠や山麓を通るルートに変わった。…

【旅】より

… イスラム世界の商業の発展は,商業上の旅をきわめて活発なものにした。貿易商人はインド洋や地中海を渡り,各地に商業ネットワークを張りめぐらし,陸上では都市間をキャラバン・サライ(隊商宿)が結びつけた。大規模なキャラバンを組み高価な商品を扱う専門的大商人から,巡礼の途中に商いをしながら聖地に至る人まで,この種の旅行はイスラム世界のいたる所で盛んに行われた。…

【マグリブ】より

…トレムセンやフェス,マラケシュなどからシジルマーサSijilmāsaを経て南下するもの,ビジャヤやチュニスからガルダイアおよびアイン・サラーフ‘Ayn Ṣalāḥを経て南下するもの,ガベスやトリポリからガダメス(グダーミスGhudāmis)やワルグラ(ワールカラーンWārqalān)を経て南下するものなどの商業路を通じ,サハラ以南の地からは,金,奴隷,象牙,麝香(じやこう)などの香料類などが運ばれ,北方からは,塩,毛織物,紙,書物,武器,馬などが運ばれた。このサハラ交易は,ラクダによるキャラバン隊によって行われたが,サハラ遊牧民の中には,その運搬や護衛の任にあたったり,それを略奪の対象としたり,あるいは自らキャラバン隊を編成したりして,莫大な利益をあげるものがいた。11世紀のサハラ西部のサンハージャ系遊牧民によるムラービト朝(1056‐1147)の建国,12世紀以後のトレムセンの発展,古くは8世紀のルスタム朝の都ターハルトの繁栄などは,このサハラ交易と密接にかかわっている。…

【モンスーン】より

…インド洋の航海は,冬季に北東モンスーン風を利用して東南アジア,インドからペルシア湾,アラビア半島への横断が行われ,その反対方向の航海は,夏季の,しかも嵐や強風で海が荒れる真夏を避けた4~5月や8月末~9月にかけて行われた。この冬と夏の航海期に合わせ,ペルシア湾やアラビア半島の諸港には,エジプトやシリアなどからキャラバン隊が結集し,インド洋貿易はキャラバンを通じて密接に地中海世界と結ばれていた。こうしたインド洋貿易に長く用いられてきたのがダウdhowとよばれる三角帆の縫合船であった。…

【輸送】より

…陸上輸送,海上輸送の順でこの問題をみてみよう。 7世紀から19世紀前半までの陸上輸送はキャラバン(隊商)が最も一般的な形式であった。これは駄獣に荷を積み,人を乗せて一団を組んで移動していく集団輸送のことをいう。…

【ラクダ(駱駝)】より

…ユーラシア大陸での東西交易,サハラ砂漠を南北に走るブラック・アフリカとの交易,そしてアラビア半島での遠距離通商など,もしラクダがなければこれらの交易は不可能であり,海上交易での帆船に匹敵する役割を果たし,歴史的にみて,まさに文明間の文物交流に欠かせぬ地上搬送手段であったといってよい。たしかに馬やロバも搬用家畜として,人類史に貢献したことはたしかではあっても,砂漠を越えるキャラバンには耐ええない点で,ラクダの果たした役割には及ばない。もしラクダの家畜化がなければ,内陸アジアの歴史の見取図もおそらく別様になったであろう。…

※「キャラバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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